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共産主義の新しいカタチ 2

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

〈プロローグ・前編〉
共産主義の「正統と異端」の系譜②

変遷するマルクス主義のカタチ
 さて、歴史的に共産主義形態は三つに時代区分できます。すなわち、①世界共産化を狙うインタ—ナショナルなど国際組織中心の「国際共産主義」②国家権力を奪取し共産主義国家樹立をめざす「国家共産主義」③体制転覆よりまず文化や社会的伝統(その最小単位が家庭)を断絶させる「文化共産主義」です。

 冷戦期を演出した国家共産主義は一部継続しますが、わが国において冷戦後に顕著になったのは、フェミニズムを嚆矢とする「文化共産主義」なのです。それはまた、「個人共産主義」と言え、「人権」をタテに個人を社会的な紐帯から切り離す「アトム化」を促進させる点を押さえる必要があります。

 特にジェンダーフリー思想の理論的支柱が、フランスのマルクス主義フェミニズムの唯物論者、クリステイーヌ・デルフィとされますが、そこには脈々とした「マルクス主義の系譜」が存在するのです。

異端のマルクス主義に脚光
 この文化共産主義思想に連なるのは元来、革命による国家転覆・共産国家樹立を至上命題とする従来の「正統マルクス主義」にとって「異端児」でしかなかったものです。

 しかし「正統派」思想が「非真理」であるともはや誰の目にも明らかになった現在、「隠されたもう一つの戦略」として、核心的な左翼・マルクス主義者の注目を浴び、穏健派の人々の間にも時間をかけて緩やかに浸透するに至りました。

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 そこで具体的に、上図(共産主義系譜)を見て大まかな流れを説明しましょう。図の左半分がこの「体制共産主義」、つまり国家や世界の体制を転覆して共産化をめざしたお馴染みの革命家・政治家たちです。彼らは概ねマルクスとレーニンが敷いた「マルクス=レーニン主義」のレールを辿りました(ただし毛沢東の主導による「文化大革命」は結果的に文化共産主義に転化)。これがいわゆる「正統派マルクス主義」というわけです。

 19世紀未のドイツでエンゲルスの庇護の下にベーベルらと共に社会民主党を立ち上げたベルンシュタインはエンゲルス死後、修正マルクス主義を唱え、カウッキーらの「正統派」と袂を分かちます。

 ドイツ社会民主党ではマルクスの「教義」よりも社会改良をめざす右派と左派が分裂し、非合法化された共産主義が退潮。レーニン率いるボリシェヴィキが10月革命を実現し、ソヴィエ卜・ロシアが国際共産主義の指導的地位を獲得、コミンテルン(共産主義国際結社)を組織しました。

 しかし、クレムリンの教条主義に反発し、大衆路線を指導したローザ・ルクセンブルクらの思想を糾合し、ヨ—ロッパの共産主義、すなわち「ユーロコミュニズム」が、正統派とは異なる「もう一つの共産主義」として形成されます。いわば「共産主義の異端児」で、これが図の右半分の「文化共産(マルクス)主義」となります。(続く)

「思想新聞」2024115日号より

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