家族の絆づくり 32
「ヘルプ」と「サポート」という二つの助け

ナビゲーター:阿部 美樹

二通りの愛、どちらが必要?
 誰かが何か困っていたり、迷っていることに対して助ける場合、二通りの助け方があります。
 一つは、最善の道を教えたり、できないことを代わりにやってあげるなどの「ヘルプ」です。
 もう一つは、最善の道を一緒に考えたり、本人が自分の力で解決できるように助ける「サポート」です。

 幼い子供に対しては親が食べさせたり、言葉を教えたり、必要なことを教えるなど、「ヘルプ型の愛」を投入します。しかし、子供が成長するとともに、何をしたいのか聞いてあげたり、信じて見守ってあげたりしながら、必要な時には助けるなど、「サポート型の愛」が必要になります。

相手はできる人か、できない人か?
 ヘルプが必要な子供に対して、無関心や育児放棄であってはいけませんし、サポートが必要な子供に対して、過干渉や指示・命令ばかりであってもいけません。
 ヘルプ型の助けは答えを相手に教える「ティーチング」であり、サポート型の助けは相手が答えを見つけ出せるように引き出す「コーチング」です。

 ティーチングは相手を「できない人、分からない人(否定的人間観)」と捉えて、教える側が答えを「伝える・指示する」など、一方向的なコミュニケーションとなります。
 一方、コーチングは相手を「できる人、分かっている人(肯定的人間観)」と捉えて、答えを引き出すために「聞く・質問する」など、双方向のコミュニケーションが必要になります。

 今の時代は、教えることよりも、相手の能力を信じて引き出す「コーチング」という助けが必要な時ではないでしょうか。