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「関係断絶決議」に対する大阪地裁判決を受けて

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 一般社団法人UPF大阪が、大阪の三つの地方自治体を訴えた民事訴訟の判決が228日、大阪地裁で下された。

 富田林市議会、大阪市議会、大阪府議会が、20229月から12月にかけて、「反社会的な」旧統一教会(家庭連合)およびその関連団体と関係を断絶する決議を採択したことに対して、UPF大阪は決議の取り消しと損害賠償の支払いを求めていたが、決議の取り消しに関しては却下、損害賠償の支払いに関しては棄却という、大変遺憾な判決となった。

 裁判所が決議の取り消しを却下した理由は、本件決議は政治的な意思決定に過ぎず、法的な効果はなく、行政処分に当たらないため、取り消しの対象にはならないという、極めて形式的な法律論であった。

 UPF大阪は、これらの決議が原告に対して、関係を断絶すべき「反社会的団体」であるという汚名を着せるものであり、名誉棄損の不法行為が成立すると主張した。

 通常の名誉棄損訴訟においては、たとえ名誉を棄損する発言を行った場合でも、公益性が認められ、真実性か真実相当性が立証される場合には違法性が阻却されるという判断基準がある。

 しかし大阪地裁はこの一般的な基準を採用せず、国賠法11項に基づいて、議員の職務上の法的義務に違背して当該決議がされたかどうかを判断基準とし、議会の権限を逸脱または濫用したとは評価できないと判断した。

 そして、安倍晋三元首相が殺害されたことを契機としていわゆる旧統一教会問題が社会問題となっていた当時の状況に鑑みて、議会の政治的な判断には「相応の合理性がある」と評価したのである。

 裁判所のこの判断基準は一般人の感覚とかけ離れている。
 市議会や府議会などの公権力が行う発言は、私人であるマスコミや特定のジャーナリストの発言とは重みも影響力も違うのであり、それ以上の公正・中立性が求められるのが当然であるにもかかわらず、「相応の合理性」があればよいという、より緩い基準になってしまうというのは全く納得がいかない。

 残念ながら民主主義は完璧な制度ではなく、「政治の暴走」や「多数決の暴力」といったことが実際に起こり得る。安倍元首相暗殺事件以降の家庭連合を巡る状況は、まさにそうした異常事態であった。

 その流れにブレーキをかけ、法に基づく正義の判断をするのが司法の役割ではないだろうか。
 少数者の人権侵害がなされている時こそ、多数決の原理から独立した司法がその意義を発揮するのである。

 裁判所には、権力機関が私人の法益侵害を伴う逸脱した表現行為をしたときには、事後的にチェックする役割があるはずだ。
 しかしこのたびの大阪地裁判決は、憲法が期待するその崇高な任務を自ら放棄してしまったという点で、非常に遺憾な判決といえる。

【関連情報
UPF JAPAN公式note

UPF大阪裁判:大阪地裁の判決を受けて

UPF JAPAN official(YouTubeチャンネル)
UPF大阪裁判:地裁判決を受けての報告会(2024年2月28日)