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ほぼ5分で読める勝共理論 18
疎外論④
マルクスはなぜ共産主義を生み出したのか

編集部編

神に復讐しようと考えたマルクス
 カール・マルクスはユダヤ人で、熱心なユダヤ教の家庭で生まれました。
 マルクスが生まれた頃のヨーロッパは基本的にキリスト教が大勢を占め、ユダヤ教はキリスト教から最も迫害される立場にありました。

 マルクスの家族は、ある時ユダヤ教からキリスト教に改宗します。するとマルクスは、ユダヤ教の友達から裏切り者だと言われるようになりました。
 一方で、キリスト教の友達からは「あいつは、本当はユダヤ教徒だ」と言われていじめられるようになりました。

 家に帰ると、両親は信仰を捨てたことでいつもけんかをしています。
 マルクスは、自分を受け止めてくれる場所がどこにもありませんでした。こうして劣等感、孤独感、不信感、反抗心などを強く抱きながら過ごしたのです。

 そしてある時、この思いが爆発します。
 彼は神の存在を信じていたので、「神はなぜこんなにも不幸な人生を自分に与えたのか、自分の人生にはいいことは何もなかった。嫌なこと、つらいことばかりだった。楽しいことは何もなかった」と言って神を責めるようになりました。

 そして神に復讐(ふくしゅう)したいと考えるようになりました。当時はキリスト教の社会でしたから、その社会を倒して、誰も神を信じなくなる社会をつくってやろうと考えました。
 しかしマルクスには社会を変える力がありません。

マルクス共産主義誕生の背景
 そこでマルクスは、当時の社会で虐げられていた労働者に目を付けました。そして労働者に自分に代わって社会を倒してもらおうと考えました。
 もちろんそのためにはたくさんの人を殺さないといけません。普通は嫌がるでしょう。

 そこでマルクスは、なぜこの社会が間違っているか、なぜこの社会を倒さないといけないのか、そしてなぜ人殺しまでしないといけないのか、ということを説得するための理論を書くことにしました。
 マルクスはこの理論を死ぬまで書き続けます。それが共産主義の思想です。

 マルクスが最初に書いたのは『共産党宣言』という本ですが、この本の最後には次のように書かれています。

 「共産主義者は、これまでの全ての社会秩序を暴力的に転覆することによってのみ、自己の目的が達せられることを公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命の前におののくがよい」

 かなり恐ろしい文章です。マルクスの強い怨念が伝わってくるようです。

 マルクスは神を恨みました。社会を倒したいと考えました。復讐したいと思いました。
 そのために労働者を利用しようと考えました。それが「人間の本質は労働者である」という理論です。

 このように定義すれば、労働者を酷使する人、つまり金もうけのために労働者を利用するような人は、人間として最も悪い人だという結論になります。

 そして労働者を利用することで成り立つ社会は倒さないといけないというわけです。
 この結論のために無理やり作った理論が疎外論であり、共産主義の理論なのです。

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