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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第176回 政教分離に対してさまざまな見解がありますが、正しく教えてください

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は、「政教分離に対してさまざまな見解がありますが、正しく教えてください」という質問に対してお答えします。

 政教分離とは、「国家(政府)」と「宗教(宗教団体)」を分離する原則のことです。

 「政教分離」の本来の趣旨は、民主主義を守るために政治が宗教に不当に介入することを禁止するための規定であり、宗教団体が政治に関わることを禁止するものではありません。

 政府が特定の宗教に肩入れしたら、他の宗教に対する圧迫になる可能性があるので、信教の自由を守るための制度的保障として設けられたものです。

 徳永信一弁護士は、次のように語っています。

 「宗教団体が社会に対してこの理念を実現してほしいと考えて政治家に接近して動かすということは、政教分離には何ら違反しません。なぜならばそれは信教の自由そのものだからです。

 信教の自由は国際人権規約の自由権規約の181項に規定されています。
 それは内面の自由だけでなく、自分と同じ信仰を持つ人たちと一緒に、その信仰を社会的に表明する行為も含まれています。
 信仰に基づいて政治に働きかけることも宗教の自由に含まれるのです」

 このように、宗教団体が政治参加することは憲法上も認められています。

 しかし、家庭連合(旧統一教会)に関しては、安倍晋三元首相の暗殺事件に対して、「事件の元凶」は家庭連合にあるとばかり、マスコミが書きたてて、明確な根拠も証拠も提示せず、「反社会的団体」「反日団体」のレッテルを貼りました。

 そのような評判の悪い団体と「ズブズブの関係にあった」政治家が全国各地にいることを批判するマスコミが一斉に報道すると、驚き恐れおののいた政治家たちは、「私たちは何も知らず、だまされたのである」との姿勢をあらわにしました。

 自民党のみならず、地方議会でも「関係断絶」の決議まで可決されました。

 このような騒動の渦中にあって、社会に潜む新興宗教に対する差別感情、侮辱感情があることを感じます。

 今から40年以上も前、1981年国連総会で採択された「宗教又は信念に基づく不寛容又は差別の撤回に関する宣言」によれば、「何人も、いかなる国、機関、集団又は個人からも、宗教又はその他の信念を理由とする差別を受けることはない」と断言しています。

 宗教又は信念に基づく差別は、人間の尊厳に対する侮辱であり、国際連合の原則を否定するものです。これを扇動する宗教ヘイトは違法です。

 最後にもう一度、徳永信一弁護士のコメントを紹介します。

 「私が驚いたのは、今年になって哲学者の橋爪大三郎氏が『日本のカルトと自民党』という新書(集英社新書)を出しているのですが、その中に宗教団体が政党に働きかけたり、政策協定を結んだりするのは、政教分離に違反すると書いてあったことです。でも労働組合はいいと言うのです。

 …なぜか日本の中では『組合はいいけど宗教団体はダメだ』という論理がまかり通っているのです。

 驚きましたが、橋爪大三郎氏は、素直に現代の日本人感覚、それはGHQによる『神道指令』を今に引きずっているものですが、これは国際的に見たら、宗教に対する差別以外の何ものでもありません。

 そういうおかしな理解の中で、今この国における統一教会の問題が進んでいるということは、ここで指摘しておきたいと思います」

 信教の自由を正しく理解した日本の社会になることを願います。

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