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facts_3分で社会を読み解く 3
盛山文科大臣がサインした「推薦確認書」とは何か?

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 家庭連合に対する解散命令請求を行った盛山正仁文部科学大臣が、前回の衆議院議員選挙で家庭連合の関連団体から選挙応援を受けていたことが明らかになり、国会で野党から激しい追及を受けた。

 宗教法人の所管省庁である文科省のトップが、厳しく追及しなければならない対象から選挙応援を受けていたというのでは、明らかな利益相反ではないかというのが追及の主旨だ。

 しかも、盛山文科大臣の答弁が「記憶にない」「うすうす思い出してきた」「一切記憶にない」「迂闊(うかつ)だった」などと迷走したため、うそをついているのではないかと疑われたり、「国会議員は都合が悪い時には記憶喪失になる」などと揶揄(やゆ)されたりした。
 特に「推薦確認書」にサインしたかどうかについては、盛山文科大臣と世界平和連合の主張が真っ向から対立している。

 実はこの「推薦確認書」の発行団体は世界平和連合であり、私はその事務総長を務めているので、かなり当事者性のある問題だ。

 世界平和連合はこれまで、われわれの掲げる政治理念や政策に賛同してくれる国会議員や地方議員に対する選挙応援を行ってきた。
 その政策を簡潔に記載したものが「推薦確認書」であり、それに賛同してサインした候補者に「推薦状」を渡し、双方合意の上で選挙応援をしてきたのだ。

 一部メディアはこれを「政策協定」に当たるとして自民党を攻撃しているが、実際にはそれほど大げさなものではない。
 選挙の際にさまざまな団体が候補者に対して「推薦状」を発行し、候補者がそれを選挙事務所に並べて貼るというのはよく見る光景だ。

 当然のことだが、どの団体もやみくもに候補者を応援するわけではない。その政治家にこういう政策を推進してほしいという負託をし、その見返りとして応援するのである。
 それと全く同じことを世界平和連合は「推薦確認書」と「推薦状」という形で表現したに過ぎない。言ってみれば、その内実は請願や陳情に近いものである。

 そもそもこれは、民主主義の基本的なシステムなのである。
 政治に参加する権利、国会議員に請願や陳情をする権利は、憲法が全ての国民に等しく保証しているものであり、その権利が宗教や思想信条によって差別されることがあってはならない。

 もし特定の団体からは陳情も請願も受けてはならないとすれば、それは民主主義のシステムから排除することを意味する。そうした全体主義の萌芽(ほうが)のような振る舞いが、自民党の家庭連合に対する「関係断絶宣言」なのである。

 岸田政権は、民主主義の原則を踏み外して自ら設定した「関係断絶」というルールに縛られ、自縄自縛に陥っている。
 その苦しみから解放されるには、法の下の平等という憲法の原則に立ち返るしかない。

【関連情報
世界平和連合

盛山文科相をめぐる報道と本連合の「推薦確認書」に関する声明