2024.02.19 22:00
スマホで立ち読み Vol.30
子どもの心をひらく 7
村上小夜子・著
スマホで立ち読み第30弾、『子どもの心をひらく』を毎週月曜日(予定)にお届けします。
長年、幼児教育に携わってきた村上小夜子・光の子園副園長が、その経験から得た内容を紹介しています。「ねばならない」「こうあるべき」という教育から、子供が本来持っている神性を引き出す教育へと転換する方法をお伝えします!
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第1章 したいことをさせる
満足するまで付き合う
ある年のことです。新年度が始まった4月に、こんなことがありました。
年少組の子どもが水道の水を流しっ放しにして、ずうーっと排水溝をのぞいているのです。家では、お母さんが「だめだよ」と叱って止めさせようとするのですが、「いやだ」と言って一向に止めないというのです。
園に通うようになってからも同じでした。そこで数回、思い切り水を流させてあげることにしました。まずは、クラスにある3つの水道の水を流しっ放しにして、ジーッと排水溝を眺めていました。それをしばらくさせて、キュッと水道の蛇口を固く締めました。「あら、大変。お水が止まってしまいました」と言うと、本人は必死で開けようとしました。でも、無理でした。そこへ、担任の先生が来て、「〇〇くん、今から園庭に行きま~す!」と、楽しい方向に意識を向けました。すると、サッとそちらに行ってしまいました。
ところが、今度はベランダの花を見つけて、じょうろに水を入れ、水やりに夢中になりました。案の定、また3つの水道の水を出しっ放しにしました。それを、3日間やったあと、「もったいないから、水道の水を止めてね」と言うと、止めるようになりました。思い切り楽しんだあと、4月末になると、もう水道には目もくれなくなりました。
この子は、いろいろなことに興味を持つ、好奇心が強い子なのです。満足して納得すると、もう駄々をこねたりしません。子どもが満足するまで付き合ってみましょう。「どこまで?」とよく聞かれます。それは、心行くまでです。不完全燃焼でくすぶったままだと、いつかまた火が付きます。
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次回は、「悪い影響を受ける子どもたち」をお届けします。