2024.02.12 22:00
スマホで立ち読み Vol.30
子どもの心をひらく 6
村上小夜子・著
スマホで立ち読み第30弾、『子どもの心をひらく』を毎週月曜日(予定)にお届けします。
長年、幼児教育に携わってきた村上小夜子・光の子園副園長が、その経験から得た内容を紹介しています。「ねばならない」「こうあるべき」という教育から、子供が本来持っている神性を引き出す教育へと転換する方法をお伝えします!
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第1章 したいことをさせる
子どものサインを見逃さない
光の子園では、御聖誕日を記念して、毎年1月頃に発表会を行っています。この発表会は、一年間の成長を父母の皆さんに見ていただく場です。3歳児は踊りを発表するのですが、練習中、急に元気がなくなった男の子がいました。何を言っても黙り込むだけです。
担任と副担任は、「自分たちが何か悪いことをしたのかもしれません」と園長に報告し、祈祷しました。お母さんに聞いてみると、「寝不足ですかねぇ」と楽観的でした。さらに理由を聞き出そうとしたのですが、男の子は抱っこされたまま何もしゃべりません。
あの手この手とやっていくうちに、「じゃあ、チョコレートを食べてみる?」と言った途端、「ウン」と元気になりました。その時、担任がピーンと来て、「もしかしたら、踊りのときに先頭で出てくるのが嫌だったの?」と聞くと、「そうだ」と言うのです。
その子は体が小さいのですが、利発で話もよく理解できていたので、先頭にさせたのです。それがプレッシャーになっていたようです。先頭を他の子に替えた日から、男の子は元気を取り戻しました。
担任と副担任は、子どもたちに尋ねずに、一方的に踊りの先頭を決めてしまったことを反省しました。
そのことを父母会で話したら、「えーっ、子どもに聞くのですか?」と驚かれてしまいました。些細(ささい)なことと思われるかもしれませんが、子どもに聞くのはとても大事なことなのです。それをせずに決めてしまうと、子どもはわかってくれていないと考えるようになるのです。
「うちの子は言われたとおりにするからいい子だ」と思うのは、とんでもないことです。子どもは、はっきりと自分の意志を持っています。そしてサインを出しているのです。目つきや顔色、体の動き、しゃべり方などで、お母さんや先生に「僕(私)を見て」、「愛して」と訴えているのです。そのサインを見逃さずに、「どうしたの?」と「尋ねる」のが子育ての基本なのです。
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次回は、「満足するまで付き合う」をお届けします。