2024.02.14 17:00
天一国主人に育む「神様コーチング」6
ティーチングとコーチングの特徴と効果
ナビゲーター:阿部 美樹
「伝え方」と「引き出し方」を高める
「教育」という言葉は「教え育む」と書くように、「知識を教える」「勉強を教える」「スキルを教える」というように、「ティーチング(答えを教える)」形式のコミュニケーションのイメージを持ちます。
しかし、「コーチング(答えを引き出す)」形式の教育もあります。
今回は、両者を比較対照して考えてみたいと思います。
まず、コミュニケーションの形態から見れば、ティーチングは「相手に伝達する」ことで成り立つ「一方向」のコミュニケーションです。
効果的にティーチングするためには、話し方、表現の仕方、文章力などの「伝達するスキル」が必要になり、答えは常に「教える側」にあるといえます。
一方、コーチングの場合は相手の話を聞くこと、相手に質問することで成り立つ「双方向」のコミュニケーションです。
効果的にコーチングをするためには、聴いて、受け入れて、質問して引き出すなど、「傾聴・質問のスキル」が必要となり、答えは常に「教えられる側」にあるといえます。
人間観から見れば、ティーチングは相手に対して「知らない人、できない人、変わらなければならない人」と見ます。そのために、相手に教えて知らせる、説得して理解させる、やり方を教えるなど、相手を変えることが教育の中心的な内容になります。
一方、コーチングは相手に対して「答えを持っている人、できる人、可能性のある人」と見ます。
そのために、相手を信頼し、相手がどうしたいのかを尋ね、どのようにしたらできるかを尋ねることが大切だと考えます。
相手に対して、能力のある人、できる人であることを信じるので、必要なことだけをサポート(支援)し、責任を持たせるという姿勢になります。
「対象性」と「主体性」を高める
教育効果の観点から見れば、ティーチングは相手に対して素直に受け入れる、純粋に受け入れる、従順に受け入れるという姿勢で行われるので、「対象性・対象意識」が育まれていきます。
一方、コーチングは相手に対して考えを引き出し、知恵を引き出し、可能性を引き出し、責任感を引き出すように導くので、「主体性・主人意識」が育まれます。
人格を高めるためには、この両方が必要になります。
組織論の観点から見れば、ティーチングを中心とした場合は「支配型のピラミッド組織」になります。
ピラミッドの頂点にいるリーダーは「指示・命令」によって目標や方針を部下などのメンバーに浸透させます。
この場合、組織の主役はリーダーであり、役職やポジションが大きな影響力を持ちます。
一方、コーチングを中心とした場合は、「支援型の逆ピラミッド組織」になります。逆ピラミッドなので、リーダーは一番下になり、メンバーが一番上になります。
リーダーは双方向のコミュニケーションで、主役であるメンバーの支援をします。末端(現場)のメンバーがやりやすいように、力を発揮できるように対応し、主体的な工夫と行動を引き出します。
この場合、リーダーは位置やポジションで影響を与えるのではなく、「信頼関係」を築いて影響を与えようとします。
しかしこのようなコーチング型の組織が全てにおいて優れているわけではありません。
初心者に対してはしっかりとティーチングした方が教育効果はあります。全体に素早く浸透させたり、理解と行動を一致させたりするためにはティーチングが有効だからです。
このように、ティーチングとコーチングの特徴と効果を理解してバランス良く活用することが必要です。