2024.02.07 17:00
天一国主人に育む「神様コーチング」5
「六つの教育方法」の特徴と効果
ナビゲーター:阿部 美樹
「教えてもらう」教育の効果
指導者が指導を受ける側に教育する場合、その教育方法は次の六つの形態に分類することができます。
第一の教育方法は、「ティーチャーによるティーチング」です。
先生が生徒に授業を行うように、経験豊富な人が、経験が浅い人を相手に自分の知識やノウハウを伝えるという手法です。
ティーチングは、指導者側が明確な答えを持って、指導を受ける側へ教えるという一方通行の教育となります。
第二の教育方法は、「トレーナーによるトレーニング」です。
スポーツにおいて達成能力を向上させるため、健康を維持するため、専門スキルを習得するためなど、それぞれの目的達成に有効なカリキュラムに基づいて練習、訓練、鍛錬させる教育です。
第三の教育方法は、「コンサルタントによるコンサルティング」です。
コンサルティングとは、企業がクライアントであれば「さまざまな経営上の課題を明らかにして、解決するために助言すること」です。
クライアントが自力では解決できないことを、解決できる能力を持つコンサルタントが指導する形態です。
例えば、戦略、IT、人事、財務などそれぞれの専門領域に特化したコンサルタントが存在します。
「教えてもらわない」教育の効果
第四の教育方法は、「カウンセラーによるカウンセリング」です。
カウンセリングとは、心の問題や悩みについて専門的に相談に応じ、相談者が成長できるように援助することです。
そのためには、カウンセラーは相談者が持つ問題の種類や性質にふさわしい適切な方法を選んでいかなければなりません。
心の問題を扱う専門家ですから、人間の行動を倫理と臨床の両面から専門的な知識学び、スキルを習得する必要があります。
第五の教育方法は、「メンターによるメンタリング」です。
メンタリングとは「メンター」という先輩のような立場の人が、「メンティー」という後輩のような立場の人に対して、一方的に教えるのではなく保護や助言、対話を重ねる中で、メンティー自身が気付きを得られるように導きます。
企業などで、メンタリングという総合的な支援の仕組みをつくり、メンターは仕事だけでなく、人生の先輩として影響を与える存在を目指します。
第六の教育方法は、「コーチによるコーチング」です。
コーチングとは、コーチがクライアントの目標・目的達成を支援し、より理想的な未来へ導くためのものです。
その時、コーチが教えるのではなく、相手の意思を「問いかけて聞く」コミュニケーションを中心として行うことで、信頼関係を築きつつ自己開示を後押しします。
さらには、相手が心から望む結果を得られるように、自発的な行動を促します。
このような六つの教育方法がありますが、どれが良くて、どれが悪いというものではありません。教育を受ける対象や目的に応じて適切に決定されるべきものです。
前者のティーチング、トレーニング、コンサルタントなどは、専門知識や専門スキルを持つ人から「教えてもらいたい」という姿勢のクライアントに有効です。
一方、後者のメンタリングやコーチングなどは、アイデアや知恵、意欲などを「引き出してもらいたい」というクライアントに有効です。
また、「初心者(初期段階)」にとっては前者の教えてもらう教育が必要であり、基本的なことを理解している「中・上級者(熟練段階)」にとっては後者の教えない教育の方が、主体性、責任感を高めることができるので適しています。
特に新たな可能性を模索するクリエイティブな人づくりのためには「コーチング」の導入が有効です。