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心をのばす子育て 25

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

4、情の教育

■情の解放は対話から

 情が閉じているか、解放されているかは顔を見れば分かります。顔を見て、喜怒哀楽がすぐ分かる子供は情が解放されています。顔を見たときに表情が変わらない、親の顔を見ても笑わなくなった、そういう時はピンチです。
 いじめなどで自殺をした子供はよく日記を書いています。親や人に話したくても情が詰まっていて話せないので、それを文字として表すのです。子供は普通だったら日記なんか書こうとは思いません。一日中遊んできて、疲れ果てて寝るだけです。日記を残そうなんて思わないものです。
 ですから、子供が学校の課題でもないのに日記を書いているということがあれば、何か言えない事情があるのではないかと気をつけてみなければなりません。
 話すことが苦手になると人間関係がつくりにくくなるだけでなく、自分の情をコントロールできなくなります。いじめられる子供の特徴に「自己主張が苦手」というものがあります。

 子供の情を解放して、言いたいことが言える子供に育てていかなければなりません。

 話すことが苦手になった子供を見ると、その親に問題があります。それは子供に「話しかけない」か、「話しを聞かない」か、「話し過ぎる」のいずれかです。

 まず子供に話しかけないと子供は言葉を覚えませんから、会話が苦手になります。会話のきっかけは親からです。親がまず子供に話しかけないと会話は生まれてきません。そのうちに子供が話すようになれば、今度は子供がきっかけをつくるようになります。

 しかし、話すようになっても会話にならない場合があります。例えば、「私の家では子供とよく話し合っています」と親は言うのに、逆に子供に聞くと「うちの親は何も聞いてくれない」と食い違っていることがあります。
 よく聞いてみると、親が話しているという会話は子供を説得する話なのです。親の意見を押しつけるための話なのです。子供の意見は聞いていないので、子供は意見を聞いてもらっているとは思わないのです。つまり子供の話を聞いていないので、会話になっていないのです。

 また、子供に話しかけてはいても、話し過ぎて子供が話す暇がないという親がいます。この親の場合も子供の意見はほとんど聞かないという特徴があります。会話という言葉のキャッチボールになっていないのです。子供は嫌気がさして親に話しかけないようになってしまいます。そして話さないうちに、話すことが苦手になってしまうのです。

 また、母親とは話をするが、父親とは話をしないという家庭も多くあります。この時期から父親と話をしていないと、話し合いの習慣ができていないので中学生くらいになって問題が起こっても話せません。母親は子供と父親の間を執り持つことが大切です。

 情の豊かな子供にしたいと思う時、私たちは自然のきれいな所に子供を連れて行ったりします。これは理にかなった方法で効果があります。自然を通して学ぶことは数限りなくあります。
 しかし自然のきれいな所に行けば、必ず情の豊かな子供になるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。必ず情の豊かな子供になるのなら、大都会にいる人は必ず情が薄く、田舎の人は必ず情が厚いはずです。ところが大都会でも情の厚い人がいますし、田舎でも情の薄い人がいます。

 子供の情を育てるのに自然が大切なことは言うまでもありませんが、量が問題ではありません。一本の花でもいいのです。子供は花を見てもすぐに情は出てきません。
 子供の情を引き出すのは、例えば、母親の「あら、きれいな花ね!」という一言なのです。母親が感動している一言で、子供は「これはきれいな物なんだ」と関心が向くのです。関心が向くことで情がわいてきます。

 さらに、もう少し踏み込んで「この花は本当にきれいだけど、何々ちゃんのほうがもっときれいね」とでも言うと、子供は親の愛情を感じるようになります。そして自分に自信をもちます。自己評価が高くなるのです。
 そうすると子供の情が素直になります。情の素直な子供は劣等感のない子供です。劣等感のない子供になるかどうかは、言葉で決まるものです。
 親の語る言葉で子供の情は変わっていきます。親の皮肉やバカにした言葉を受けていると、子供はゆがんでいきます。愛情あふれる言葉で子供の情は伸びていくのです。

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 次回は、「早期教育・英才教育」をお届けします。