2024.02.09 22:00
愛の知恵袋 183
幸運のスパイラルを巻き起こせ
松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)
嫌なことが続けば落ち込んでしまう
30代のその男性は疲れたような様子で、「あ~、もう嫌になってしまいますよ…」と言って大きなため息をつきます。事情を聞くと、次のようないきさつでした。
今の会社に入社して10年になる。最初の1年は仕事に慣れることで精いっぱいだった。やっと慣れた頃、先輩から「人と同じ事やってても給料は上がらないよ」と言われた。そこで、早めに出勤し、進んで残業を引き受け、休日出勤もいとわず実績を上げるように頑張ってきた。おかげで昇進し給料も上がったので結婚した。
それから5年。子供も二人いるが、今、家族関係にも仕事にも行き詰まっている。
原因を辿ると、仕事第一で妻や子供との時間もとれず、夫婦間に摩擦が生じ何かと言い争うことが増えた。イライラして不機嫌になる。そうすると、職場でも同僚との関係がギクシャクし始め、仕事でもミスやトラブルが多発。ストレスが溜まって家族に当たるので夫婦関係が更に悪化。体調も悪くなり、車の事故を起こしてしまった。今は、出勤するのも気が重い…というのです。
彼は完全に悪循環にはまってしまった感じです。これでは、幸せの青い鳥はどこかに飛び去ってしまいます。
悪い感情、つまり…不満、嫉妬、恨み、憎しみ、怒り、非難…といったネガティブな感情を抱くと、不思議な事ですが、悪いことが次々に起きてきます。
「泣きっ面にハチ」「弱り目に祟り目」です。
しかし、これは誰でも一度や二度は経験したことがあるのではないでしょうか。
このような悲劇の悪循環のことを、私は「不運のスパイラル」と呼んでいますが、確かに、このような現象はあると思います。
いわゆる「引き寄せの法則」です。ネガティブな思いや言葉は悪い運勢を引き寄せ、更に悪いことが次々に起こってくるのです。これでは、喜びや楽しみは得られないし、幸せにはなれません。
「小便でました。ありがとうございます!」
では、幸せになるにはどうしたらいいのか? この逆を実践すればよいのです。
私がなるほどと感心したことがあります。56歳の頃でしたからもう20年も前のことです。私の実家の菩提寺は国東市にありますが、ある日、法事のために訪れて、広い庭の隅にあるトイレを使用しました。小用を足そうと思って便器に向かうと、目の前に木の札がかかっています。
『小便でました。ありがとうございます。合掌。』と書いてありました。
近年、公衆トイレでは「きれいに使っていただき、ありがとうございます」という言葉はよく目にしますが、こんな文言は初めてでした。
若い頃であったら、「何言ってんだ、当たり前のことじゃないか」と一笑に付したかもしれませんが、熟年になった自分には、「なるほど、誠にその通り。有難いことだ。自分は幸せだな…」と心の底から思えたのでした。
それ以来、私は自宅でトイレに行っても、「小便出ました。ありがとう」「大便出ました、ありがとう。感謝、感謝」とつぶやくことにしています。
幸運のスパイラルを引き起こす方法
家庭も仕事もうまくいく秘訣は「幸運のスパイラルを引き起こす」ことです。
そのためには、毎日、「感謝で始まり、感謝で終わる」生活を実践すればよいのです。日常の一つ一つの事を全て前向きにとらえ、感謝、感謝と唱えるのです。
私の場合、朝起きた瞬間に「目が覚めた…自分は生きている。感謝!」「目が見える…感謝。手足が動く…感謝!」と考えます。
トイレに行くと「きょうも快便、ありがとうございます」。そして、洗面所で顔を洗い、鏡を見てにっこり笑い、自分に語り掛けます。
「大丈夫、問題ない。全てはきっとうまくいく。きょうも一日、元気で行こう!」
食事をする時は、一瞬でも世界の人達のことを想い、「食べられることに感謝」と祈って「頂きます!」と言う。
家で仕事をする時は、時々休憩を取って孫におやつをあげ、ベランダで野菜や花木に水をやり、メダカにエサをやる。仕事のため車で遠出をすれば、途中の大自然の美しさを賛美しながら歌を口ずさむ。
家に帰れば大きな声で「ただいま~」と言う。娘や孫達と夕食を楽しんだ後は、私の分担である食器洗いと翌日のごみ出しの準備。夜は仕事が終われば好きな番組の録画を見て気分転換。最後に今日一日を振り返り、感謝の祈りをして床に就く。
感謝できると心にゆとりが生まれ、自然と笑顔になり、人に優しくなれます。
「全てに感謝!」。この生活を徹底的に実践すると不思議なことが起こります。
見えない手に導かれるように全ての事がうまくいくようになるのです。まず家族や職場での人間関係が良くなります。難題を抱えても思わぬ助け手が現れたり、良い人に出会えたり、良い仕事の依頼が飛び込んできたりするのです。