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天一国主人に育む「神様コーチング」2
「授受作用」から見たコミュニケーション

ナビゲーター:阿部 美樹

「授受作用」を正しく深く理解する
 物事の発展の原理として「授受作用」があります。
 人間関係のコミュニケーションにおいても円滑な関係性を築くための原理です。
 では、私たちは日々の生活で原理的な授受作用を行っているでしょうか。

 今回は、原理的な授受作用について考えてみたいと思います。
 『原理講論』では、「授受作用」が次のように定義されています。

 「あらゆる存在をつくっている主体と対象とが、万有原力により、相対基準を造成して、良く授け良く受ければ、ここにおいて、その存在のためのすべての力、すなわち、生存と繁殖と作用などのための力を発生するのである。このような過程を通して、力を発生せしめる作用のことを授受作用という」(50ページ)

 ポイントが三つあります。

 第一のポイントは、「主体と対象」です。
 主体と対象の関係とは、男性と女性のような「陽性と陰性」、もしくは心と体のような「性相と形状」の関係です。

 『原理講論』では、「二性性相の相対的関係を結ぶことによって存在する」と表現されています。
 「相対的な関係を結ぶこと」とは、「関わり合いながら存在する」「セットで存在する」「主体と対象はそれぞれが単独では存在しない」ということです。

 授受作用をするために絶対的に必要なのが相対(相手)です。
 これは、全ての存在様相の絶対的な要件です。主体と対象という関係からのみ授受作用が可能となり、そこから力が生じます。
 ですから、相手を尊重し、常に相手に対して感謝する心が大切です。

 第二のポイントは、「万有原力による相対基準」です。
 万有原力とは「被造物が存在するための全ての力を発生せしめる力の根本」です。
 具体的には、主体と対象に対して「相対関係を築こうとする力」を与えることで、「相対基準」を結ぶようになります。

 「万有原力」が「関係を持たせる力」であれば、「授受作用の力」は「関係性から生じる力」であるといえます。
 自然界には、存在物の乱雑さは必ず増大するという「エントロピー(乱雑さ)増大の法則」があります。
 存在物に何らかの目的性を指向する力が働かなければ、それを維持、管理、発展させるためには必ず何らかの「力」が必要となるのです。

 主体と対象の授受関係の背後に、共同の動因と目的性を付与する高次元の縦的秩序が先に存在しているといえます。
 まさに、創造目的を完成させて喜ばせたいという神様の愛の力が存在していることを知ること、神様の心情を中心とした授受作用を心がけることが大切です。

「悪く授け悪く受ける」授受作用をしていませんか?
 第三のポイントは、「良く授け良く受ける」です。
 「良く授け良く受ける」ということは、「悪く授け悪く受ける」こともあり得るということです。
 ただ単に「頻繁に授け受け」すれば良いということではありません。

 動機や目的性、方向性、姿勢などを正し、原理的に神様のみ意(こころ)にかなった授受作用であることが大切です。

 授けることは「与えること・愛すること」であり、受けることは「もらうこと・愛されること」と捉えがちです。しかし、「真の愛は与えて忘れること」「真の愛は無償の愛である」というみ言があるように、真の愛は受けることではなく「与える力・投入する力」です。

 授受作用とは、まず主体が対象に授け、それを受けた対象が主体に授け、それを主体が受けることで、共に授け合う作用です。
 主体だけが一方的に対象に与え、対象は一方的に受けることをいっているのではありません。

 それでは、「授けること」が「愛すること・為(ため)に生きること」ならば、「受けること」はどのように捉えたらよいのでしょうか。
 それは、「全てを喜んで受け入れること」「感謝すること」と捉えることが大切です。

 愛する主体は、「相手が喜ぶ姿を見たい」という衝動を持つものです。
 対象が喜んで受け入れる姿、感謝する姿を見ると、主体はさらに「愛したい」という衝動を持つことでしょう。

 神様も人間を愛した時に、人間が感謝する姿を見るとさらに愛したいという衝動を持たれるかたです。
 恵みの愛を受ける時は感謝することが容易にできます。しかし試練や訓練の愛は、不運な出来事、不幸の姿で現れることが多くあります。

 損得勘定で一喜一憂するのではなく、常に感謝の心で受け入れる姿勢を持つならば、全ての環境に神様の愛を感じることができることでしょう。


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