https://www.kogensha.jp/news_app/detail.php?id=22576

心をのばす子育て 21

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

4、情の教育

■自発性

 1歳から3歳は「自発性」が芽生え始める時期です。
 私たちは植物を育てるのに水をあげたり肥料をあげたりします。しかし、結局花が育つのは、この花がもっている力によるものです。同様に子供が育つのも、子供の中から芽生えてくる力によるのです。
 ですから、心を育てる時に最も意識しなければならないのは子供の中から出てくるものです。それをどう引き出すかが問題です。
 この子供の中から出てくる力を「自発性」と言います。将来一人前の人間になるまでに育てるべき「愛情」「創造性」「主体性」の芽生えが、この自発性なのです。

 子供は23歳くらいからいろいろなことを自分でやると言い出します。パジャマを一人で着るとか、ボタンを自分ではめるという主張が始まります。これが自発性の初めです。
 これを子供に任せるのは、親にとってはかえって手間がかかり困ることかもしれません。親は早くしたいからです。
 しかし、これは子供にとっては初めてのチャレンジなのです。頼もしく見つめてあげましょう。そして、できたら「よくやったね」と誉(ほ)めてあげるのです。

 この自発性は何によって啓発されるのでしょうか。この時期は「情」の時期ですから面白いこと、楽しいことに向きます。つまり子供の「好奇心」です。
 子供の好奇心が何に向くかは分かりません。その子供の個性や環境で変わるからです。
 ティッシュペーパーに関心を向けるかもしれません。何か書くことが面白いとなったら、至る所に書き出すでしょう。紙を破るのが面白いと感じれば、いろいろな紙を破ってしまいます。
 子供の好奇心というのは、時に親にとってはイタズラに映ります。しかし、これを止めてはいけません。このイタズラは子供の自発性の現れだからです。大事に伸ばしていかないといけません。親にとってはイタズラでも、子供にとっては成長なのです。
 少し困りますが、いずれにしろしばらくの我慢です。子供の好奇心は長続きしません。次々と好奇心が変わっていくはずです。
 このころは一つのことに集中する時期ではありません。このころの子供は「落ち着きがない」ものです。目を離すと何をやっているか分からず、親は本当に疲れます。でもそういう子供こそ、好奇心が旺盛(おうせい)な子供なのです。

 この自発性に対して特に親が意識しなければならないのは、子供の自発性は常に親の好ましいことに向くとは限らないということです。親にとって都合のいい自発性だけ認めていてはダメです。
 この時期の子供の自発性・自己主張は大概「イヤ」から始まります。親はそれを親に対する反抗と見がちです。ですから23歳のころを第1次反抗期というのです。
 しかし、それは違います。これは自立と呼ぶべきです。自立というものは時には反抗を伴うものであることを理解しなければなりません。
 それに、この時期の「イヤ」は本当のイヤではありません。小さくてまだ言葉が分からないだけなのです。

 例えば、子供に「ご飯だからいらっしゃい」と言った瞬間に、「イヤ」と言います。でも本当にイヤというのではないのです。心では「今遊んでいるから、これが終わったらご飯に行くわ」と言いたいのです。
 しかし、言葉が足りないので「イヤ」で終わるのです。それをまともに受け取ると頭にきます。でもしばらくすると、ご飯の席についています。
 だからこの時期は言葉が足りないだけなのです。この時期の反抗は自己主張の現れです。

---

 次回は、「思いやり」をお届けします。