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ほぼ5分で読める勝共理論 10
憲法改正の方法

編集部編

日本国憲法は最も古い憲法?
 憲法シリーズの最後に「憲法改正の方法」についてお話しします。

 皆さんは、日本国憲法が制定されてから一度も改正されたことがない、ということをご存じでしょうか。
 憲法が施行されたのは1947年ですから、もう70年以上も改正されていないということになります。今では、現行の憲法において、世界で最も古い憲法になってしまいました。

 最近では10年もたてば世の中はかなり変わりますから、70年前といえば、相当古い時代です。
 例えば国際社会では、領海は国土から12海里、約22kmと定められています。このルールは1982年にできました。日本は海に囲まれた国ですから、大変大きな変化なのですが、このことは日本国憲法には反映されていません。

 このように、日本国憲法には現実と合わない部分がかなり出てきています。それでもなぜ改正されてこなかったかというと、憲法改正の要件がとても厳しいからです。

憲法改正の要件とは
 ではここで、憲法改正の要件を示す「憲法96条」の前半部分を読んでみましょう。

 「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」

 お分かりになったでしょうか。
 衆議院と参議院の両方で3分の2以上の賛成を得て、国会が提案をして、いざ決めるのは主役の国民ということです。

 ところが日本では、今の憲法が制定されてから、衆参共に憲法改正に賛成の議員が3分の2以上になったことが長くありませんでした。初めてそうなったのが20167月の参議院選挙でした。実は2016年の選挙は日本の歴史上、かなり重要な選挙だったということです。

憲法改正は民主主義に反する?
 憲法改正に反対する人たちの中には、「日本は敗戦国だ。憲法を変えるとまた悪いことをする」と言う人がいます。
 同じ敗戦国のドイツでは、戦後に60回も憲法改正をしました。しかし「また戦争になる」という気配は全くありません。
 他の先進国では、米国で6回、韓国で9回、フランスで27回、憲法を改正しています。
 憲法改正によって戦争をする国になったという事実は、世界のどこを見てもありません。(2016年時点)

 「民主主義が破壊される」という批判もあります。でも考えてみてください。国会は発議をするだけです。変えるかどうかを決めるのは国民です。もし国民が改正したいのに、国会が国民に判断の機会を与えない、発議をしないなら、それこそ民主主義に反するのではないでしょうか。

 本当に民主主義が大事だと思うのであれば、「主役である国民にできるだけ判断の機会を与えよう。衆参どちらかの3分の1の議員の反対だけで発議すらできないのはけしからん。国民軽視だ」となるべきではないでしょうか。

 96条を改正して、今よりも国民が判断しやすくするのがよいのではないか。そして70年前の日本人ではなく、今、日本に住む人々の幸福追求権が保障されるように、必要な部分は時代に合わせて変えていくべきではないかということです。

 憲法シリーズは今回で終わりです。
 憲法とは何なのか。なぜ憲法改正に対する意見が対立するのか。憲法はなぜこれまで一度も改正されなかったのか。最大の争点になっている“9の問題点とは何なのか。
 このようなさまざまな課題が一気にクリアになったのではないでしょうか。