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平和の大道 64
スエズ運河建設から学ぶ勇気と知恵

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

 「日韓トンネルは、巨大な資金がかかるビッグプロジェクトであるから、国家予算でなければできないのではないか」と主張する人が多い。しかし、そのような考えは必ずしも正しいとは限らない。歴史を振り返ってみれば、民間で実現したビッグプロジェクトは意外に多い。

 最近では英仏海峡トンネルもその一例ではあるが、その代表的な例が1869年に完成したスエズ運河である。スエズ運河は、実はレセップスというフランスの外交官出身の一個人のアイデアと情熱と勇気ある行動力によって、着想され、資金調達もなされて、実現されたのである。日韓トンネル構想を現実的に実現するという段階になる時に、スエズ運河の建設から学ぶところが多々ある。

スエズ運河建設とレセップス

 スエズ運河建設は、エジプト駐在経歴のある一外交官のレセップスの着想から始まった。そもそも、スエズ運河を切り開こうというアイデアを時のエジプトの太守モハメド・サイードに進言したのが、フランス政府の下っ端外交スタッフを歴任したフェルディナン・ド・レセップスであった。

 彼はある本を通じて、シナイ半島の一番くびれたところに運河を掘り、紅海と地中海を結ぶことは可能であるということを知り、スエズ運河の着想を得た。レセップスは、子供の頃からの友達であったモハメド・サイードにスエズ運河プロジェクトの夢を語った。

 驚かされるのは、レセップスには土木エンジニアリングの知識はゼロ、さらにファイナンスの知識もゼロ、もちろん先立つお金もない。ただ彼には、胆力、エネルギッシュさ、話術の上手さ、イマジネーションの豊かさ等の点で、傑出していた。

 サイードはレセップスに建設許可を与え、1858年「国際スエズ運河会社」が設立された。レセップスは運河の資金集めのためにエジプトだけでなく、ロンドン、コンスタンチノープル(今のイスタンブール)、パリ等を周り、皇室や新聞記者達に運河を説いて回った。

 実はこの資金調達の際に、ロスチャイルド財閥から「株式を引き受けたい」という話が持ち込まれた。ロスチャイルド財団から5%の標準引受手数料を要求されたが、彼は「自分でやる」と宣言した。結局、フランス政府や25千人のフランス人の個人投資家が工事費用の半分以上を拠出し、残りはモハメド・サイードが出資した。1959年に工事を着工したが、掘削工事の多くはエジプト農民の無償労働で行われ、困難を極めたが、ようやく1869年に完成した。

 イギリスは運河建設においては先進国であったが、「この運河建設は、技術的に不可能である」と判断し、イギリスはスエズからカイロを通過し、地中海のアレクサンドリアに至る鉄道を敷設する計画を立てていたので、レセップスの構想には乗らなかった。

 こうしてレセップスとモハメド・サイードがスエズ運河の夢を語り合った15年後の1869年にスエズ運河が開通した。

日韓トンネル建設実現に向けて

 日韓トンネル建設の大きな課題の一つは、資金調達である。約10兆円という膨大な建設資金が必要であるから、民間からではなく、国家予算で成せば良いという考えが一般的だが、国家予算で成そうとすれば、かえって難しくなることもあるということをよく認識しておかねばならない。議会承認、予算編成等、意外と手間と時間もかかり、財政難を理由に必要額の予算が出ないこともある。

 これと対極的な考えは、国家からは建設の許可を貰い、株式会社を設立し、資金は世界中から国や民間から集めるというスエズ運河建設方式である。

 次の考えは、建設は国が担当するが、運営を民間に売却し、運営は民間に任せるというコンセッション方式がある。コンセッション方式とは、高速道路、空港、上下水道等の料金徴収を伴う公共施設の所有権を発注者(公的機関)に残したまま、運営を、特別目的会社として設立される民間事業者が行うスキームを指す。これをすれば、国にお金が入るようになり、建設費の一部を補填できるというメリットがある。

 スエズ運河建設を取り上げたのは、日韓トンネル建設において、資金を国に一方的に頼るのではなく、それとは対極的に、知恵を絞れば、個人が株式会社を設立して、各方面から建設資金を集めることによってでも十分可能であるということを訴えたかったからである。

(『友情新聞』2016年10月1日号より)

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 次回は、「リニア新幹線の適合性」をお届けします。


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