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心をのばす子育て 17

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

3、一人前の人間に育てる

■心の育っていない現代の子供

 現代の子供たちを見ると、この心(知・情・意)が育っていないことがよく分かります。
 「情」が解放されていない子供とは、思ったことを素直に言えない、やりたいことが自由にできない、自己主張が苦手といった特徴をもった子供です。その結果、人とつきあうこと(人間関係)が苦手なのです。

 「知」が育っていない子供とは、躾(しつ)けがなされていない子供です。躾けられずに甘やかされた、礼儀知らずな子供です。
 1万人の非行少年を見てきたという相部和男氏によると、非行少年の6割は甘やかされて育った子供だということです。躾けというのは訓練ですから、訓練されていない子供はわがままでひ弱になります。何か問題があると逃げてしまい、自分の言動に責任を取らない無責任な人間になります。

 「意」の育っていない子供とは夢や目的がなく、無駄に日々を過ごしている刹那(せつな)的な子供です。将来のことなど考えず、今がよければ良いという人間です。
 また、社会性が育っていないと自己中心になるので、楽なこと、面白いこと、得になることしかやりたがりません。苦労を嫌がるのです。
 また、主体性の育っていない子供は、言われないと何もやらないタイプです。創造性の育っていない子供とは言われたことしかできないタイプです。

 現代の子供はこれらのどれかに該当します。心が育っていないのです。心を育てなければなりません。それも、心の成長には時があるということを思えば、できるなら早いうちに、また何も問題が起きていない時が大切です。
 問題が表面化してからでは解決は大変です。現代の子が「突然切れる」のは気がついていなかっただけなのだと言いましたが、表面化しないうちは確かに判断が難しいのです。
 しかし、内在している問題は必ずいつか表に出てきます。しかし、それからでは遅いのです。問題が表面化する前に、自分の子をよく観察しなければなりません。子供が見えてくると、親にゆとりが出てきます。親にゆとりが出ると、子供との関係は今よりもっと良くなります。そうすると子育てが楽しくなってくるのです。

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 次回は、「親の子供に対する信頼感」をお届けします。