2023.12.15 22:00
【テキスト版】
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第167回 家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に対する有識者の見解はどのようなものでしょうか?➁
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に対して有識者の見解はどのようなものでしょうか?」という質問に対してお答えします。
政府による解散命令請求に対する有識者の見解を紹介します。
月刊「正論」2023年12月号の「解散命令請求への疑義」という記事に、イタリア生まれの宗教社会学者、マッシモ・イントロヴィーニェ氏の見解が掲載されています。
このかたは、欧州安全保障協力機構で「人種差別・異文化排斥・宗教的不寛容及び差別」の廃絶分野の代表を務められました。
コメントの一部を紹介します。
「日本政府が刑事処罰されていない教団を宗教法人法で解散させようと前のめりになっている今の状況、これは民主主義を掲げ、信教の自由が保障されている国々において極めて特異で異常な光景です」(月刊「正論」2023年12月号、46ページ)
「政府は、民法上の不法行為で宗教法人を解散できると一夜にして方針を変えました。これもおかしい。民法上の不法行為で宗教法人が解散できるなら、安全な団体などひとつもないでしょう」(同、48ページ)、と指摘しています。
実際、刑事事件で有罪判決を受けていない宗教団体を解散できるのは、中国とロシアのような国だけです。もしこれを日本で行うのであれば、民主主義国家で最初の国となり、日本の国際的イメージに深刻な影響を及ぼすことでしょう。
このような問題に対して、多くの国際的人権団体が非難の声を上げています。
2023年10月14日付の「世界日報」に「解散請求は『全体主義』と非難 12の国際人権団体が共同声明 日本に信教の自由擁護訴え」という記事が掲載されました。
声明を発表したのは、国連経済社会理事会で特殊諮問資格を持つ非政府組織「良心の自由のための団体と個人の連携(CAP-LC)」会長のティエリー・ヴァレ氏、国際人権団体「国境なき人権」代表のウィリー・フォートレ氏、「欧州宗教自由フォーラム」代表のアーロン・ローズ氏(国際ヘルシンキ人権連合元事務総長)、さらに、先ほど紹介した「新宗教研究センター(CESNUR)」代表のマッシモ・イントロヴィーニェ氏らです。
声明は、「反対派弁護士らが家庭連合を敵視するのは、同連合が反共産主義運動を展開してきたことへの恨みに基づく政治的な理由からだ」と断言しています。
「反対派弁護士やメディアによる家庭連合叩(たた)きは、前代未聞の誹謗(ひぼう)中傷キャンペーン」と批判しました。
また、「家庭連合の解散は、民主主義国家ではなく、中国やロシアの慣行を彷彿(ほうふつ)とさせる措置だ」「解散を迫ることは、日本を全体主義体制と同列に並べることになる」「これはわれわれが尊敬する日本ではない」「われわれは日本の当局と裁判所に対し、信教・思想の自由を含む民主主義の原則にコミットした国としての日本のイメージを永遠に汚すような措置を進めないよう強く求める」と訴えました。
憲法で保障された「信教の自由」は、戦後日本の自由な社会の発展の基礎となり、自由と民主主義を奉ずる世界の国々と共有するものです。
政府がターゲットにした特定の教団が、解散請求の対象になるということは、信教の自由を脅かす悪しき前例となりかねません。
日本における信教の自由侵害への危惧は、日本の宗教団体よりも海外の宗教団体や学者が深刻に受け止め、警鐘を鳴らしています。
今回は国際人権団体の有識者の見解を紹介し、考察しました。