拉致監禁・強制改宗
後藤徹さんの闘い 7
「畜生、ここから飛び降りてやる」先が見えず募る焦り
(世界日報 2023/10/11

脱会説得者の足音に拒否反応 「監禁自体が犯罪だ」
 昼間の時間は“無事に”過ぎていく。何事も起こらないからだ。後藤さんは、その間、ずっと聖書や統一教会の教理である原理講論、統一思想の本を読んで過ごした。

 時間が移って夕方6時になり、玄関の方からいつもの足音が聞こえると、拒絶感情が胸の内に一気に膨らんできて、表情と体がこわばってくる。そして、宮村氏と元信者56人が入ってきて、いつものように脱会を強要するための糾弾が始まる。

 ある時、その内容をメモするためにノートを広げると、一人が「何でノートなんか広げてるの」とそのノートを取り上げ、ぱっと部屋の脇に放り投げ「ふざけんじゃないわよ」と罵声を浴びせた。後藤さんの落ち着きぶりが余計に癪に障るのだろう。

 「私が何をしたというのか」と言うと、「お前は、なんでそんなに不真面目で誠実じゃないのか、真摯じゃないわよ」と元信者の一人がわめくようになじる。

 「監禁されていて、真摯も何もないじゃないの」

 「いや、監禁じゃない、保護説得だ」

 「じゃあ、どこかへ連絡させてくれ」

 「そんなことできるわけがない」

 「こんな状況で、なぜ私は真摯でなければならないのか」

 こんなやりとりの繰り返しだった。

 元信者の一人が「社会的な問題になってるんだから、あなたはちゃんと検証して私たちに説明する責任がある」と迫っても、「そんな必要はありません。もしあなた方が言うように、私が犯罪人なら警察に突き出せばいいでしょ。信仰の自由はあるんだから、あなたがたにいちいち説明する必要はない」と動じなかった。

 教理についても、後藤さんは「宗教論争をしても水掛け論に終わるんです。どんな宗教でもそうですから。説明してもいいけれど、それであなたたちを納得させられないかもしれない。しかし、そうだからといって信じていけない、ということはない」と一歩も引かない。

 しかし、元信者たちが、なおも「間違った信仰だ」と決め付け「真理であることを証明せよ」とごり押ししてくる。

 ならばと、後藤さんは構え直して「私が感動したところは、(教理の)『神は喜びのために人間と宇宙を創造された』という個所です。素晴らしい真理だと確信しています」と告げる。

 監禁された中にあっても、一切妥協しない態度に、結局、話し合いといっても<悪うございます><脱会します>と言う以外にないのだから、これは強要にほかならない。後藤さんは「皆さんは、考えろと言いますが、監禁すること自体が犯罪であり、やってはいけないことだ。私のやるべきことは検証じゃなくて、こういう不当な監禁に対する抗議です」と、突っぱねたのである。

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 次回は、「上着はボロボロに破かれ、血は畳にしたたり落ちた」をお届けします。