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家族の絆づくり 297
「問題」を発見する力を高める

ナビゲーター:阿部 美樹

困っていることは問題ではない!
 「私には今、大きな問題があるんです」という悩みを抱えている人がいたとしましょう。
 さらに聞くと「私は、〇〇のことで悩んでいます(困っています)」という言葉が続きます。
 しかし厳密に言えば、「困っていること=問題」ではありません。

 問題とは、「現状と在るべき姿(目標)のギャップ」です。
 「実績が上がらない」「やる気が出ない」というのは単なる事実や現象に過ぎず、現状認識や目標を明らかにしないと、それが問題かどうかも分かりません。

 問題を発見するためには、現状を正しく捉える必要があります。
 「今、何がどうなっているか」ということを、できるだけ事実に基づいて現状を把握します。その上で、何を目指すのか、理想は何か、在るべき姿を明らかにします。

 そうすると、両者のギャップが明らかになります。まさにそれが「問題」です。
 現状を理想に近づけることを考えるのが「問題解決」です。その時に、解決に向けて取るべきアクションが「課題」となります。

 日頃の会話の中で、「問題」と「課題」の区別なく使うことがあります。この違いが明確になれば、頭はスッキリして、やるべきことが見えてきます。

問題がないことが良いことではない
 「今はうまくやっているので、特に問題はありません」という言葉は、順調な歩みと捉えられがちですが、問題がないことが良いことでもありません。
 これは問題に気付いていないだけです。現状に満足せず、さらに高い目標や理想を掲げる向上心がないと、問題は見つかりません。向上心が高い人は、問題を探そうとします。

 問題を探すためのポイントは以下の三つです。

❶時刻・期間など、「いつの問題なのか?(時間:Period)」

❷場所・場面・システムなど、「どこの問題なのか?(空間:Perspective)」

❸立場・役割・関係など、「誰の問題なのか?(人間:Position)」

 この三つの「間」から考察することです。

 さらには、❹狙い・使命・ビジョンなど、「何のための問題なのか?(目的:Purpose)」を加えて、問題発見の「4P」ともいいます。

 問題を探すことは、ネガティブな思考から出てくるのではありません。ポジティブな思考であるが故に可能となります。

 感謝の心と共に、前向きに問題を探して解決する姿勢を持ちましょう。