2023.12.04 22:00
神主義と頭翼思想 7
罪の種類と性質
ナビゲーター:稲森一郎
新しく連載がスタートする同シリーズのオリジナル記事は、1995年10月から1996年10月までの期間、『氏族教会FAX-NEWS』に連載されたものです。
文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁夫妻が提唱し、推進してこられた「統一運動」と、その運動理念である神主義、頭翼思想。その価値を再認識、再発見する機会としていただくために、稲森一郎氏の執筆による「神主義と頭翼思想~その理論と実践」をBlessed Lifeに再掲します(一部、編集部が加筆修正しました)。ぜひご活用ください。
神主義によって解決すべき現実世界の様態
人間始祖アダムとエバの堕落により、その後孫たちに罪が血統的に受け継がれ、かくして罪の力が人類を支配するようになりました。
このような事態は、神の真の愛によって理想世界を実現しようとする神主義の理想から見るとき、誠に由々しき問題として、理想世界実現の道のりの上に重くのしかかっています。
罪の現実は、ひとえに神の真の愛が人間たちの中に失われたことに起因するといえるのですが、それでは、真の愛の喪失はどのような罪の様態を生み出したのか、罪の種類や性質を見てみることにします。
背負い込んだ四つの罪
罪には大別して四つの罪があります。
①原罪 ②遺伝罪 ③連帯罪 ④自犯罪、の四つです。
原罪は罪の根であり、全ての罪の根源として、人間たちが神に帰ろうとしても帰ることのできない血統的な悪の因縁の力があり、それは真の愛に対抗する偽りの愛の力として人間の根底に根付いています。
言うまでもなく、原罪は堕落した天使長ルーシェルとの不倫の愛の因縁であり、愛の方向性を決定的に誤らせた罪の根、天倫を逸脱せしめる愛の血統的因縁です。原罪解決の道は、人類の真の父母として来られるメシヤによるしかありません。
メシヤの仕事とは、サタンの偽りの愛から神の真の愛へと転換される愛の大手術、すなわち、「血統転換」を通じての「重生」(生まれ変わること)の摂理を遂行されることであります。
これが神主義による真の愛の世界実現のための基礎作業であることは言うまでもありません。
遺伝罪は先祖が犯した罪が後孫へ受け継がれて遺伝するところの罪ですが、罪の根である原罪に対して、遺伝罪は罪の幹に当たるものであります。
連帯罪は、例えばユダヤ人の一部の人々がメシヤとして来られたイエスを不信して十字架につけた罪を、ユダヤ人全体が連帯して背負い、国を失って苦難の歴史を歩んだことに見られるように、連帯して負わなければならない罪です。
「堕落性本性」という悪の性質
さて、以上のような罪を背負い込んで生きている人間の悲惨さは、罪の現実的様態、すなわち犯される罪の具体的性質を知ることにより、一層明らかにされるのです。
「堕落性本性」と呼ばれる悪の性質は、ルーシェルがエバと堕落する際に生じた悪の性稟(せいひん)であり、これをそのまま人類は相続して、さながら悪性稟の伏魔殿(ふくまでん)と化してしまった地球という人類のすみかはあらゆる犯罪の場になってしまったのであります。
堕落性本性は、次の四つです。
(1)神と同じ立場に立てない(自己中心性、ねたみ、嫉妬など)
(2)自己の位置を離れる(不倫、血気、怒気、見栄など)
(3)主管性を転倒する(傲慢、反逆、不従順など)
(4)犯罪行為を繁殖する(徒党、誘惑、責任転嫁など)
深刻な罪悪世界の現実
文豪シェイクスピアは、その悲劇作品の中に書いた人物群をして人間罪悪の諸相を完膚なきまでに行わしめました。その結果としての報い、すなわち、人間の悲劇を描写し尽くしたことは、裏返しに考えてみると、悪業がいかに人間にとって身近なものであるか、またその結果がいかに悲惨であるかを見事に証明してくれたということになります。
皮肉にも、そのような作品を名作と言わなければならないところに、悪の中に深く沈んだ人類の悲しさがあると言ってよいでしょう。
いずれにせよ、神主義によって解決すべき罪悪世界の現実は深刻そのものです。