2023.11.27 22:00
神主義と頭翼思想 6
罪の起源と原罪~神主義の理想実現を阻む力
ナビゲーター:稲森一郎
新しく連載がスタートする同シリーズのオリジナル記事は、1995年10月から1996年10月までの期間、『氏族教会FAX-NEWS』に連載されたものです。
文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁夫妻が提唱し、推進してこられた「統一運動」と、その運動理念である神主義、頭翼思想。その価値を再認識、再発見する機会としていただくために、稲森一郎氏の執筆による「神主義と頭翼思想~その理論と実践」をBlessed Lifeに再掲します(一部、編集部が加筆修正しました)。ぜひご活用ください。
人類を覆う罪悪世界
統一運動は神主義の理想、すなわち神の真の愛による地上天国の実現を目指しています。これを阻むところの力が、人類全体を根源的に覆っているという認識をはっきりと持たなければ、神主義の理想を実現することは難しいと言わなければなりません。
神主義に対抗する力は、神の愛の性質と反対の性質を持ったもろもろの悪(あ)しき力として人間の心の中に存在し、それが行為として人間社会の中に現れる時、人類社会を罪悪世界へと陥れます。
歴史的に見て、過去においても現在においても人類の社会は罪悪に満ちたものであるという事実は、悪の力がいかに人類を強く支配しているかを雄弁に物語っています。
悪に反発する力、善を熱烈に希求する力を持たない人間は、悪をさほど拒絶しない人間となり、悪くすると、悪に慣れ親しみ、悪に飼い慣らされた人間となってしまう恐れがあります。
実際、そのような人間たちがあまりにも多いために、この世界は長い歴史を通じて罪悪世界であり続けましたし、また現在もそうなのです。
愛の一大変化劇
このことは実に深刻な問題であり、人間の中の悪をいかに解決するかという、歴史上最も困難な問題として取り上げざるを得ない最大問題であります。
人間の中の悪の問題を追求していくとき、悪の起源という問題にぶつかります。
このテーマがキリスト教においては、罪の起源と原罪の問題として扱われてきましたが、これを明確にし、その謎めいた物語を解明することこそが、悪の問題の解決につながると神主義は主張します。
結論から言えば、愛の理想が失われたことが人間の罪悪の起源となったということです。すなわち真(まこと)の愛から偽りの愛への転落、永遠絶対の愛から移ろいやすい不安定な愛への変化、喜びの愛から悲しみの愛への変貌、このような愛の一大変化劇が、一つの事件を通して起きてしまったのです。
喜びと幸福の源泉であるべきはずの愛が、悲しみと不幸の原因となってしまったことが「人類の堕落」といわれたところの中心的内容です。
堕落事件のポイントを要約してみましょう。
・堕落は天使長ルーシェルの偽りの愛によってもたらされた。
・堕落した天使長は神に対する反逆者サタンとなった。
・天使長に相対したのはエバであり、エバは堕落した後、アダムを誘惑して彼をも堕落させた。
・天使長の堕落の動機は、彼がアダムとエバに対して抱いた「愛の減少感」であった。
・この天使長と人間始祖の間に結ばれた不倫なる愛の関係が、キリスト教でいわれてきた「原罪」を意味する。
などです。
理想世界を妨げる原罪問題
神主義は神の真の愛を中心とした理想世界をつくることを目的とするものですが、この神主義の理想を阻む根源的な悪の力が人類の根底に横たわっているのです。
それが原罪問題です。
この原罪問題を解決しない限り、真の意味での理想世界は実現されません。なぜなら、神を中心とする真の愛によって理想の家庭をつくることを原罪の力が妨げるからです。
夫婦がどんなに美しく永遠に愛し合いたいと思っても、サタンの自己中心的な偽りの愛の要素を持ってしまった男と女は、なかなかうまく愛し合えないという壁にぶつかってしまうのです。
このように理想家庭をつくることができないとすれば、理想の社会もできるはずがなく、従って、理想の国家も理想の世界も永遠にできません。
「純潔」と「貞操」の価値認識が必要条件
しかし、今や、神主義による理想世界の実現を堂々と宣言することのできる時代がやって来たことは、原罪問題を解決できる時代が到来しているということです。
世界が不倫の愛を中心とする淫乱地獄へと突き進んでいる今日、神主義は真の愛を中心とする理想家庭と理想世界の実現を目指します。
そのための必要条件は「純潔」と「貞操」の価値認識を全人類が持つことです。そこに全てが懸かっています。