2023.12.02 17:00
心をのばす子育て 15
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
3、一人前の人間に育てる
■年齢と子育て
子育ては子供を一人前にすることを目的にしながら、今の子供を見つめて育てていきます。最終的にどんな人間になるかが問題です。途中の段階で一喜一憂していては失敗します。幼児期や少年期だけを見つめないで、成長期間全体を見ます。その子育ての期間に、まず「時と順番」を考えます。
年齢の分け方は、まず0歳に1を加えて1歳、次に2を加えて3歳、3を加えて6歳、後は同じように4を加えて10歳、5を加えて15歳、6を加えて21歳。この21歳が子供の成長期間です。この21歳を見つめて子育てをしていきます。そして子供が21歳になったときにどういう人間になっているか、成人したときにどうなっているかが問題なのです。
21歳を超えたら社会人です。ですから、子育ての期間は社会人になるまでという見つめ方もできます。ただ、実際は18歳で社会に出る人もいれば、23、4歳で社会に出る人もいます。数字の上では21歳とありますが、子供の成長には個性がありますから、あまり数字にこだわらなくてもいいのです。
さらに、心の機能は知・情・意の三つですから、この年齢を三つに分けます。平均割りにすれば7歳と14歳ですが、近いところで6歳と15歳で分けます。6歳というのはちょうど小学校に上がる時ですし、15歳は高校進学です。ですから小学校に入る前の幼児期が一区切り、次が義務教育まで、そして最後が社会人までというふうに分けられます。
次に、この三つの区分に知・情・意を当てはめます。知・情・意の中で最も大切なのが「情」ですから、まず情から始まります。ですから、最初の0歳から6歳までの幼児期は情に注目して育てます。実際には知・情・意は同時に働きますから、情に注目するということです。6歳から15歳までは、情に加えて「知」に注目して育てます。15歳から21歳は、情と知に加えて「意」に注目して育てます。
心を育てるということは子供の中にあるものを引き出すことです。エデュケーション(教育)のエデュケートという言葉は引き出すという意味です。ですから、「情」を育てる時に意識するのは情を引き出すことです。つまり、子供の中から「わき出る情」を大切に育てます。それが情の解放されている子供です。この情を育てる場所は家庭です。家庭教育はこの先21歳の最後まで続きます。
そして次の「知」の期間では「心と頭の躾(しつ)け・訓練」をします。なぜなら、わき出た情が間違った自己中心的のことや反社会的なことに流れてはいけないからです。また、勉強が本格化して学校教育が始まります。この知の期間では家庭と学校で知を育てていきます。そして、この学校教育は21歳まで続きます。
「意」の期間では本人の意志が問題になりますから、子供が「将来の目的」を見つけなければなりません。それも親や人から与えられるのではなく、自分で見つけなければなりませんから、この期間は社会に目を向ける必要があります。社会教育が大切です。このように子供が順調に育つには「家庭」と「学校」と「社会」の三つが必要になります。最近アメリカなどでは学校不信から家庭ですべてやろうとする人たちがいますが、家庭ですべてを行うことはできません。ただ、学校が荒れていたり、地域社会が悪い環境では困ります。その時は、すべてを家庭でと考えないで、「孟母(もうぼ)三遷の教え」で環境を変えることを考えたほうがよいでしょう。
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次回は、「心の成長の流れ」をお届けします。