家族の絆づくり 294
「ハインリッヒの法則」から見た失敗防止策

ナビゲーター:阿部 美樹

「ヒヤリ・ハット」する小さな失敗を生かす!
 「ハインリッヒの法則」という言葉を聞いたことがありますか。
 これは、失敗を未然に防ぐための大切な法則です。

 例えば、企業などの組織で、重大な事故やトラブルが起こると、原因を一生懸命探して再発防止をしようとします。

 もちろんそれも必要なことですが、未然に防ぐためには、重大な事故やトラブルの背後にある危険を分析しなければ、繰り返してしまう可能性があるのです。

 ハインリッヒの法則とは、「1件の大きな事故の裏には29件の軽い事故があり、その裏には300件のヒヤリ・ハットが隠れている」という法則です。
 つまり、事故にならないまでも危険を感じるような出来事が隠れているということです。

 重大事故をなくすためには、その事故を注目するだけでは不十分です。300件のヒヤリ・ハットをいかに減らしていくかがポイントになります。

 この経験則を、発見者の名前から「ハインリッヒの法則」と呼びます。

「ヒヤリ・ハット」が起こりやすい場面?
 ハインリッヒの法則は、企業の労働災害に関しての経験則ですが、今では不測の事態である事故やクレームなど、ありとあらゆる失敗を減らすことに役立てられています。

 ヒヤリ・ハットが起こりやすいのは、初の試みや初心者の無知や未経験といった「初めての場面」です。
 「久しぶりの場面」という不慣れさやうっかりして間違うということもあるでしょう。
 「変更の場面」という作業の変化、担当者の変更などからも起こります。

 このような場面に対しては細心の注意を持って見つめ、失敗がないように工夫や対策をする必要があります。

 また、ヒヤリ・ハットの要因は担当者のスキル不足や経験不足、思考・感情・性格といった「人間」の問題、さらには私たちを取り巻く「環境」の影響もあります。

 作業をするための「ソフトウエア」の問題、「ハードウエア」の問題もあるかもしれません。
 このようなことを念入りに検証することが必要です。

 これは企業だけの話ではありません。私たちの人生や家庭においても、重大なトラブルにならないように、問題の深掘りをする、小さなヒヤリ・ハットから学ぶという姿勢が大切です。