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終活ポイント講座 12

 『祝福家庭』(2020年春季号、夏季号、秋季号)に掲載された「終活ポイント講座」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 「老後」と「聖和」に対する備えに関して、行政書士の石原登文先生(6000双)に解説していただいています。

※法律や制度は2020年9月時点のもので、今後、変わることがあります。

15 遺体の搬送から葬儀まで
 臨終を迎えると、自宅、斎場、葬儀会館などに遺体を搬送します。自分をどこに搬送してほしいのかをあらかじめ決めておき、家族が分かるように記録しておくことが必要です。

 病院で亡くなった場合、そこで遺体を預かってもらえるのは、2時間程度と言われています。その間に、葬儀業者やほかの家族への連絡を行います。事情により業者が搬送を手配できない場合は、病院でもある程度まで手配できることがあるようです。

 遺体を搬送して安置すると、次に葬儀業者と打ち合わせして、宗旨による形式の違いと種類(規模)、費用などを確認します。

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 葬儀の形式は、仏式、神式、キリスト教式、聖和式、無宗教などです。無宗教の葬儀は、故人がよく聞いていた音楽などをBGMで流し、楽しく明るい雰囲気で行われることが多いようです。

 葬儀の種類は、次の4つがあります。規模の大小は、選んだ種類の影響を受けます。

社葬、合同葬(会社の社長や役員が亡くなった場合、会社主催による通夜と告別式を執り行います。比較的、規模が大きくなる傾向があります)

一般葬(僧侶や神職、牧師などを招き、通夜と告別式を行います。参列者は地域、職場などから幅広く集まります)

家族葬(通夜と告別式を行い、家族だけの少人数で故人を見送ります)

直(ちょく)葬(葬儀を行わず、死亡が確定してから24時間経過後に遺体を火葬して、墓地や納骨堂に安置します)

 葬儀の形式と種類を決めたら、親戚や友人、仕事の関係者など、想定される参列者の人数を計算します。これは費用にも直結しているため、あらかじめ検討しておく必要があるのです。

 費用については、葬儀の規模が一段階上がるごとに、50万円単位で総額が増えます。葬儀の話題を縁起の悪いこととは考えず、ぜひ向き合って検討してほしいと思います。

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 日本で聖和式を数多く行っている葬儀業者は、現在のところ、「メモリアル聖苑」と「天郷(てんきょう)」の2社になります。

 4年ほど前、聖和式の費用の目安について、ある関係者から話を聞いたことがあります。依頼者の自宅のいちばん広い部屋に祭壇を築き、供花で囲み、家族以外の参列者が20人ほどの規模で、香典返しを準備して近くの墓地への棺の移動を手配し、近親者だけで会食を行うと、約80万円ほどで聖和式ができるそうです。

 そのときの状況にもよりますが、「資金が足りなければ足りないなりに、執り行わせていただきます」とのことでした。その場合は供花の数などが多少減るかもしれません。

 これを一般の葬祭場で行えば、祭壇の規模が大きくなることで供花の量が増え、参列者の数も増えるため香典返しを多く準備することになり、さらに会場の使用料が加わり、飛躍的に費用が増えるのです。

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 次回は、「墓地と埋葬」をお届けします。