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ほぼ5分で読める勝共理論 2
「右翼」と「左翼」はどう違う?

編集部編

「ネトウヨ?」「パヨク?」
 皆さんはネット上で、「ネトウヨ」とか、「パヨク」という言葉を見かけたことがあるのではないでしょうか。
 深い意味は分からなくても、相手を馬鹿にして批判するための言葉だなということは伝わってきます。
 この元になっている言葉が「右翼」と「左翼」です。

 結論から言うと、右翼というのは本来、「保守派(右派)」の人々を表す言葉です。これに対して左翼というのは「革新派(左派)」の人々を表す言葉です。

「保守」という考え方
 「保守」という言葉の漢字を見ると、「保つ」に「守る」と書きます。つまり「保守」というのは、「古いものを保ち、守る」という意味です。これが思想になると、古くからの伝統、そして文化を守っていこう、大切にしていこうという考え方になります。

 例えば日本には、55日の「こどもの日」にこいのぼりを飾る風習があります。昔の人にとっては、男の子が病気にかからずに健康に育つのはとても大変なことでした。また、その男の子が大人になり、出世して成功すれば一族が豊かに暮らすことができます。大きな家なら後継者としての世継ぎも必要です。ですから男の子が健康に育ち、出世することには大変大きな意味がありました。そのことを祈ってこいのぼりを飾ったのです。

 しかし今では医療技術が発達して、子供が病気で亡くなることはほとんどなくなりました。また社会では、機会の平等が憲法で保障されているので、成功するかどうかは本人の努力次第です。男の子の方が重要だという時代でもありません。その意味では、こいのぼりを飾る現実的な意義は薄れてきています。

 ところが日本では、今でも「こどもの日」になると全国でこいのぼりが飾られます。これはたとえ時代が変わっても、現代にも通じる普遍的なものがあるということを示しています。
 別に今は男女に差がある時代ではありません。しかしその根底にある子供に対する思い、そして愛情は大切にしていきたいということです。
 こうした目に見えないもの、古くから日本人が大切にしてきたものを、私たちも大切にして受け継いでいこうというのが保守の基本的な考え方です。

「革新」とは
 「革新」は、革命の「革」に「新しい」と書きます。つまり「古い伝統や秩序に縛られずに、より新しいものをつくり上げていこう」という考え方です。

 こいのぼりの例で言えば、こいのぼりを飾ることはむしろ男尊女卑につながるのではないか。男の子の健康と成功を祈るなら他の方法があるのではないか。女の子も同時に祝うことはできないのか。より合理的なやり方があるのではないか、などと考えるわけです。

 「革新」的な考え方は、歴史や伝統よりは、個人の権利や平等などに重きを置きます。

本来「保守と革新」は「善と悪」ではない
 「保守」と「革新」、どちらが正しくてどちらが間違っているというわけではありません。人にはそれぞれの性格があるのと同じように、それぞれの考え方があるということです。

 政治のニュースを見ると、政治家はたいていどちらかの考えをより強く持っています。何の思想も持っていないということはほとんどありません。

 ちなみに私の子供には、保守的な性格を持つ子と革新的な性格を持つ子がいます。同じ親から生まれてきたのにとても不思議です。
 やはり人には、いろいろなタイプがあり、それで社会全体が発展するようになっているということなのでしょう。

「右翼」「左翼」の語源は?
 なぜ保守を右翼、そして革新を左翼と呼ぶのか。
 時代は1789年のフランス革命にまでさかのぼります。当時、議会で保守的な考えを持つ人たちが議長から見て右側、革新的な考えを持つ人たちが左側に座りました。これが右翼と左翼の語源です。

 今の日本では、右翼と言えば「軍国主義者」、左翼と言えば「共産主義者」というイメージがほとんどです。

 「ネトウヨ」や「パヨク」という言葉もこの延長線上にあります。