制作の舞台裏から 35
安らぎのジャズピアノ聖歌編の制作に当たって

 このたびは、U-ONE TV 34周年企画の一環として、「安らぎのジャズピアノ聖歌編」を制作し、2023825日、光言社U-ONE TVYouTubeから同時配信した。

 筆者は「癒やしのオルゴール聖歌」に引き続き、この「安らぎのジャズピアノ聖歌編」にも企画段階から携わり制作に臨んできた。今回は制作に至った動機や思いを簡単に紹介させていただきたい。

 家庭連合の「聖歌」をネットで検索してみると、ピアノ演奏、ピアノ伴奏歌入り、祈祷BGMなどが多く見受けられたが、ジャズアレンジされたものは、ほとんど見当たらなかった。
 そこで今回は、ジャズピアノによるアレンジ聖歌の制作に挑戦することとなった。

 私事だが、幼少の頃から父親が音楽好きということもあって、自然に西洋音楽やジャズ音楽に慣れ親しみながら育ってきた。
 信仰生活では「聖歌」の清らかな音楽的感性に触れる中で、「いつか必ず、聖歌のジャズアレンジを手がけてみたい」という思いを持ち続けてきた。それが今回、実現することとなり“感無量”である。

 「クラシック音楽」の愛好者の中には、「ジャズ」というと少し抵抗感のあるかたがいらっしゃるかもしれない。
 しかし「ジャズ」は19世紀末から20世紀の初頭、アメリカでの人種差別や奴隷制度によって虐げられてきた黒人たちのコミュニティーの中で生まれた。
 アフリカからアメリカに連れてこられ、奴隷生活の中で味わったつらい経験やさまざまな思いを歌にして歌った「ブルース」がその原型ともいわれている。

▲アフリカの奴隷貿易の拠点となったゴレ島

 この時、人々は単純に「つらさ」や「悲しさ」だけを歌ったのではなく、そこに“明日へ向かう力”や“希望”を歌に乗せて、過酷な環境を乗り越えてきたのだ。
 ジャズには、そのような人たちの「強い思い」が込められている。こうした背景を知っていただくことで、ジャズに対する関心や聴き方も変わってくるのではないかと思う。

 ところで「ジャズ」には、脳の疲労回復をサポートし、リフレッシュする効果があるようだ。
 私も一日の疲れを癒やすために、自宅でジャズを聞くことがよくある。気持ちが落ち着き、安らぎが与えられる。まさにタイトルのごとく「安らぎのジャズピアノ」である。

 今回は、聖歌第33番「わが仔羊」をジャズ風にアレンジした。
 前編では、イントロの後、メロディーを4回演奏し、そこにジャズ風の伴奏を加えている。また2回メロディーを演奏するごとに転調をしている。そして後編の途中からは、ジャズ特有のアドリブ演奏となり、最後はメロディーに戻りエンディングに至る。前編と後編を合わせて約9分とし、それを2回繰り返し約18分の演奏となっている。

 YouTubeに寄せられた視聴者からのコメントを見ると、「素晴らしいアレンジ」「今後も増えるのが楽しみ」など、期待を寄せてくださっているので、励みにもなり本当に感謝の念に堪えない。

 「安らぎのジャズピアノ聖歌編」は、家庭連合の聖歌とジャズのアレンジが織りなす新たな作品となったが、今、私たちこそが過酷な環境に置かれ、大きな試練の場を乗り越えんとしている。

 真のお母様と一つとなって歩むことが最も大切だが、こんな時にこそ、ジャズの根底に流れる“明日に向かう力”と“希望”とを心にしっかりと携えながら、前を向いて正々堂々と前進して行こうではないか。そうすれば必ず、試練を乗り越えることができるに違いない。

 「安らぎのジャズピアノ聖歌編」は、YouTubeでも公開しているので、ぜひお知り合いのかたがたにもご紹介いただき、拡散していただければうれしい限りだ。

(T)

【安らぎのジャズピアノ(聖歌編)】