家族の絆づくり 291
導き上手になるトーク術

ナビゲーター:阿部 美樹

「空雨傘」トーク
 説明上手な人は、人を動かすことができる能力がある人です。私たちも、分かりやすく、印象的で、簡潔に説明できるスキルを身に付けたいものです。
 そこで今回は、導き上手になるトーク術を二つ紹介します。

 第一は、「空雨傘(そら・あめ・かさ)トーク」です。

 「今日は傘を持っていくべきか(論点)」「空が曇っている(事実)」「雨が降りそうだ(解釈)」「持っていくべきだ(解決策)」という流れになります。

 「空」とは、「今がどのような状況か」という「事実・現状認識」です。
 事実は、主観や感情で捉えるのではなく、冷静に全体を俯瞰(ふかん)することが重要です。

 「雨」とは、「事実は何を意味するか」という「解釈・現状分析」です。
 事実を認識した上で現状を正しく分析し、解釈することが重要です。

 「傘」とは、「事実や解釈を得てどうするか」という「行動・解決方法」です。
 解釈を元にして、行動を決定します。この時、行動が短絡的になったり、飛躍したりしないように注意することが肝要です。

 このような手順で考えると思考が整理されますし、相手に伝わりやすいものです。

FABE(ファブ)」トーク
 第二は、「FABE(ファブ)トーク」という相手に何かを説明する時によく使われるものです。

 これは、「特徴(Feature)」「利点(Advantage)」「便益(Benefit)」「証拠(Evidence)」の順で説明します。

 例えば、相手に勧めたいものがあれば、新しい機能や他にない点といった「特徴」を説明します。

 次に、それらの特徴がどんなメリットや優位性を相手に与えるかという「利点」を述べます。「得する・増える・可能になる」というものです。

 続いて、利点がどのような利益や価値をもたらすかという「便益」を説明します。
 「今までよりも時間が短縮できる、楽になる、便利になる」などのように「正誤・損得・善悪・好悪」などの論点での整理です。

 最後に、便益であることを示すデータや実績、現物、調査結果、喜びの声などの「証拠」を示して締めくくります。

 このような手順で説明した場合、相手に分かりやすく、説得力をもって伝えることができます。

 今一度、自分はどのような説明をしてきたのかを振り返り、これらのトーク手順に当てはめて取り組んでみてはいかがでしょうか。