2023.10.28 17:00
心をのばす子育て 10
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
2、親が子育てのスタート
■「無条件の愛」と「条件付きの愛」
●行動と本人を分ける
躾(しつ)け・訓練の「条件付きの愛」と「無条件の愛」を使い分けるには、「行動」と「本人」を分けるという方法がポイントです。躾けは子供の行動だけを問題にします。また、躾けは親の言うことを聞いたから誉(ほ)めるのではなく、善(よ)いことをしたら誉めて、悪いことをしたら叱(しか)ります。ここで気をつけることは、行動は叱っても子供本人に対する愛を変えないということです。躾けの時に「もう、おまえなんか知らない!」と言って、子供の存在そのものまでも否定してしまう人がいます。子供そのものまで否定したり、親の愛情がなくなったりするようなイメージを子供に与えてはいけません。子供そのものは常に愛しているけれども、子供のしたこの行動は良くないと、行動だけを問題にするのです。これは友達との関係でも同じです。子供の友達でも、親が気に入った友達と親の気に入らない友達がいます。その時「あの子とつきあうな」という言い方は、その友達そのものを否定してしまっています。
これは子供の気持ちを踏みにじり反発を呼びます。この場合は「あの子とつきあうのはいいけど、あの子のあの行動はよくないよ。そういうことはやらないようにね」と言うのです。あくまで行動だけに注目するのです。
●適正な条件
躾け・訓練をする時、高すぎる条件は親子双方に問題を生みます。百点を取らないとダメだったり、部屋を常にピカピカに掃除していなかったらダメだったり、テレビや漫画はすべてダメ、勉強は毎日○時間以上必ずやる、親に対する口答えは許さない……このような条件では子供は苦しくなってきます。また、親のほうも子供がなかなか達成できないので、不満が高まりイライラしてしまいます。その結果、親子の情関係が崩れ出し「うちの子はちっともいいところがない、ダメな子供だ」ということになってしまいます。また、子供のほうも何をやっても認められないので、そのうちあきらめてしまい、何事に対しても「やる気のない人間」になってしまいます。
少し条件を下げてみるのです。毎朝元気に起きてくる、親の顔を見るといつもにっこり笑う、いつも元気で走り回っている、などはすべていい子の条件です。この次元から見つめていくと、子供に対して「うちの子はいい子だ」と思えるようになります。ただ、いつまでもこれでは困ります。中・高校生になっても同じ条件では困ります。この例はあくまで幼児期の条件です。条件は年齢とともに徐々に上げていく必要があります。
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次回は、「親の位置」をお届けします。