2023.10.22 05:00
スマホで立ち読み Vol.28
『拉致監禁』28
世界平和統一家庭連合 総務局/編
スマホで立ち読み第28弾、『拉致監禁』を毎日朝5時にお届けします。
本書は現在の報道の背景を理解するとともに、拉致監禁の再発を防ぐために作成された一冊です。ぜひお読みください。
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第二章 痛哭と絶望を超えて
残された心の傷②
監禁されたマンションの中で
パニックになっている私に対し、両親は「T、すまん。これしか方法がなかったんや」と何度も言いました。私は、「こんなことして良心が痛むでしょう!」と言いました。
部屋は、厳重に鍵が掛けられており、トイレに行くときも父が見張っていました。
無理矢理連れてこられた時のショックは、体が覚えており、異常なほどの恐怖を感じました。寝るときにも私が逃げないよう、家族が常時見張っていましたので、強い精神的圧迫を受け、苦痛を感じる日々が始まりました。
両親は、「話し合いをしたい」「統一教会(家庭連合)のことを知りたい」「統一教会に詳しい牧師の話を聞いてほしい」などと言って、私に詰め寄ってきました。しかし、いくら話をしても、平行線でした。
結局、「話し合い」というのは建前であり、何が何でも家庭連合の信仰を棄てさせようとする一方的な手段であることは明白でした。私は「とにかく逃げるしかない」と思い、3日目の明け方4時頃、ベランダの窓の鍵を開けて外に出ました。見ると、そこは8階でした。下に降りることもできないので、やむを得ず、私は2軒先の家まで塀を飛び越えて渡り、朝、その家の人が起きてきたら助けてもらおうと思いました。
ところが、その場面を両親に見つかってしまって、どうすることもできず、部屋に戻りました。
それから数日後、元信者の女性や、船田牧師が訪ねてくるようになりました。最初は、家庭連合関係の本をたくさん持ってきて、『原理講論』の間違いなどを話して帰りました。
私は一体どうすればいいのか分からず、神様にただ祈るばかりでした。一方的に批判を聞かされる私は、端的に言えば、笑えばいいのか? 泣けばいいのか? また、親の前で、牧師の前で、反論してもいいのか? 彼らにどのように接すればいいのかさえも分からず、ずっと悩んでいました。なぜならば、私が何を言っても、彼らはそれを受け入れてくれなかったからです。特に、船田牧師はそうでした。船田牧師は、家庭連合の信仰を持つ人に対して、「狂った者」「きちがい」としか思っていませんでした。
そんな日々を過ごしていたある日、母のレポート用紙の中から、今回の監禁に当たっての綿密な計画が書いてある紙を見つけました。そこには、私をどのようにマンションに連れていくのか、マンションの中での生活内容、注意事項、親が取るべき姿勢、お風呂には2人で入ることなど、細かい指導が書き込まれており、さらには、私が「脱会届」を出した後でリハビリの生活が必要であることまで、さまざまな内容が書かれてあったのです。
両親が牧師の指導を受け、その指導に全面的に従っているのが分かる内容でした。それを見て、私はさらにショックを受け、「もう誰も信用してはいけない」と固く心に決めたのです。
そして、その計画書の内容を通して、私が脱会を決意するまではどんなことがあってもここから出してもらえないということを、再認識させられました。
船田牧師は、私が監禁されてから2週間ぐらいまで、ほぼ毎日、マンションに訪ねてきました。その中で、統一原理の内容と従来のキリスト教の聖書解釈との違いを比較して批判し、さらには、文鮮明(ムン・ソンミョン)師の路程についても批判して、私の信仰すべてを否定してきました。
私は心の中で、「人が神様から受けた啓示に対して、どうして他人がそれを嘘だと言い切れるのか? その根拠がどこにあるのか」と思いました。それは、本人と神様との間でしか分からない出来事であるはずなのに、それを、あたかも文師が嘘をついているように決めつけるのです。
そんな牧師の姿を見て、「噓をつかせてここに連れてこさせたのは誰だ!? それを指導したのは、あなたではないか!」と感じました。その矛盾に満ちた牧師の姿勢を、私は到底受け入れることができませんでした。
しかし、ここから出ようとするなら、「偽装脱会するしかない」と思い、何一つ反抗せず、ただただ忍耐し続ける日々を続けざるを得ませんでした。なぜなら、私のマンションの中での生活態度が、いつも両親から牧師に報告されていたからです。
私は、本当に悔しくて、悔しくて、その思いをどこにぶつけることもできず、布団を何度も噛(か)んで泣きました。
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次回は、「偽装脱会」をお届けします。
★「我々の視点」脱会説得による悲劇②
★「拉致監禁」問題を考える特別シンポジウム(2023年9月10日)ダイジェスト映像