世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

沖縄県知事選、「惑星直列」実現を

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 813日から19日を振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。
 米国・国防権限法(国防予算の大策を定めた法律)が大統領の署名を経て成立(13日)。沖縄県宜野湾市の佐喜眞淳市長が沖縄県知事選(913日告示、30日投開票)に立候補することを表明(14日)。コフィ・アナン元国連事務総長死去(18日)。

 今回は沖縄知事選に関する内容を扱います。佐喜眞淳(あきま・あつし)宜野湾市長が814日、翁長雄志(おなが・たけし)知事の死去(膵がん)に伴う知事選(930日投開票)への立候補を表明しました。沖縄県知事選挙は予定では11月でしたが、翁長氏の急逝により前倒しになりました。

 翁長氏は、旧・真和志(まわし)市(現・那覇市)の市長だった翁長助静(じょせい)氏の三男として生まれ、沖縄保守政治家一家で育ちました。県議会議員時代には普天間飛行場(宜野湾市)の名護市(辺野古)移設を推進する立場でした。しかし民主党の鳩山由紀夫内閣が発足(2009年)し、県民の普天間飛行場・県外移設への期待が高まったことで、辺野古移設に転じたのです。

 その後2014年の県知事選に立候補し、現職に10万票の差をつけて圧勝しました。原動力となったのは、辺野古移設阻止を旗印にして、保守・革新を超えた議員や経済界などでつくる「オール沖縄」(「オール沖縄県民会議」)でした。

 しかし「オール沖縄」の実態は、選挙の実務を共産党が主導するものです。その結果、今年に入り、名護、石垣、沖縄の直近の3市長選で敗北。自民・公明・日本維新の会の三党が推進した候補が連勝しました。

 「オール沖縄」の保守系議員はこの4年で落選が相次き、「共産党の独り勝ち状態」になったのです。左傾化の強まりに反発し、企業や元自民党議員の離脱も続出しました。

 今、政府関係者の間で沖縄「惑星直列」という言葉が出ています。
 内閣、沖縄県知事、名護市長、宜野湾市長の4者が辺野古移設の推進または容認で一致することをいいます。
 太陽系の惑星が一列に並ぶ現象になぞらえたものですが、惑星直列は天文学的な確率でしか起きないとされています。沖縄のそれは、06年、辺野古移設の現行計画が決まって以降22年間、一度も実現していません。

 「オール沖縄」は814日、移設反対派の共産党、社民党、労働組合などが那覇市内で会合を開き、翁長氏の後継候補の絞り込みに入りました。ところが、817日、翁長武志知事が生前、自身の後継候補として2氏の名前を挙げている録音テープの存在が親族によって明らかにされたのです。
 二人とは、保守系の会社経営者・呉屋守将(ごや・もりまさ)氏と沖縄3区選出の自由党の玉城デニー衆議院議員です。呉屋氏は固辞、玉城氏は慎重検討段階です。

 来る知事選は、沖縄「惑星直列」実現のチャンスです。全国的な応援態勢をつくり上げましょう。