2023.10.14 17:00
心をのばす子育て 8
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
2、親が子育てのスタート
■厳愛と慈愛
昔から「親の心子知らず」という言葉があるように、親の愛情はなかなか子供に伝わらない面があります。その理由はいろいろありますが、やはり「愛する」ということがよく分かっていないのです。
例えば、愛には「厳愛」と「慈愛」という二面性があります。この二つの愛のどちらが大切かがよく議論になります。ところが、この二つの愛は片方だけではだめで、両方必要なのです。やさしさのない厳しさは暴力となりますし、厳しさのないやさしさは過保護となり、甘やかしにつながります。問題はこの二つのバランスです。どちらが主体なのかということです。これは子供の年齢や状況によって変わります。厳愛を前面に出す時もありますし、慈愛を前面に出す時もあります。ただし、それぞれの背景に慈愛と厳愛が存在しなければなりません。失敗するのはバランスが崩れて、どちらかに偏りすぎた時です。
夫婦のバランスとしては父親のほうが母親より厳愛が強く、母親は父親より慈愛が強いのが良いバランスです。ですから昔から、厳愛が主体で慈愛が客体になっているのを父性愛といい、慈愛が主体で厳愛が客体になっているのを母性愛というのです。厳しい父親にやさしい母親が自然なのです。自然というのは、子供が受け入れやすいということです。もっとも父親と母親、それぞれに厳愛と慈愛がありますから、状況によって父親がやさしいこともあり、母親が厳しいことがあっても当然です。「基本的なバランス」として父親が厳しく、母親がやさしいというのが良いのです。子供が問題を起こした家庭を見ると、この基本的なバランスが崩れていて母親のほうが強く、父親が弱くて影が薄いという例が非常に多いのも事実です。
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次回は、「『無条件の愛』と『条件付きの愛』」をお届けします。