https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4163

心をのばす子育て 7

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

2、親が子育てのスタート

■親の愛情がすべてのカギ

 子育てのスタートは親ですから、子供を変える最大の方法は親が変わることです。問題は具体的に何を変え、何を学ぶかです。ここで注意するのは、前述したように最初から表現方法にこだわらないことです。表現方法は個性ですから、こだわると混乱してしまい、表現が統一されなくなってしまいます。そうなると子供のほうも混乱し、親を不信してしまいます。最初に意識するのは子育てに対する「心構え」です。心が定まれば、表現は自然に出てきます。それも自分の個性にあった表現が出てきます。

 その親の心構えにおいて最も大切なものが、言い古された言葉かもしれませんが「愛情」です。言い古されたということは昔から今日まで続いているということです。それは、そこに真理があるからです。まず親が子供に対する愛情をもっているかどうかがすべてのカギです。子育てをして楽しい、子供といると楽しいという思いがなければ、親子のコミュニケーションなどをいくら学んでも無意味です。心がこもっていない言葉はすぐに子供に見抜かれてしまいます。表面だけ変えるのは仮面をかぶるようなものです。仮面はいつかはがれてしまいます。心を変えないといけません。それができてから、次に心を伝えるときの表現である言葉を学ぶのです。子供を愛しているが、それをうまく伝えられない時に勉強するのです。

 子供に対する親の愛情はいつからできるかというと、厳密にいえば結婚した時からです。結婚は夫婦二人だけの問題だけでなく、将来生まれる子供も意識する必要があります。さらに大切なのは妊娠中です。妊娠期間とは親の心構えを具体的につくる期間です。親になるための「愛の心構え(心情)」をつくる期間なのです。本当に子供を待ち望んで生むと、生まれた瞬間にすぐ愛情が流れます。たとえ子供が障害をもって生まれようが愛情は流れるのです。

 母親と父親を見た時に、どちらが子供に対する思いが強いかといえば、やはり母親でしょう。その理由はこの妊娠期間に、身をもって感じているからです。十月十日もお腹の中に子供を抱えて苦労をして産むので、親としての心情が自然にできるのです。女性のほうが、その期間苦労を実感した分だけ愛情がわくのです。問題は父親です。仕事に気を取られて、気がついたら生まれていたということがあります。その場合、子供に対する心情が育っていません。そうすると、子供によって流れる愛情が変わってきます。いい子や可愛い子だったら愛情が流れるのですが、親の願いと合わない子供だったり、逆らったりすると愛情が流れなくなってしまいます。子供によって流れる親の愛情が変わるのは、子供に問題があるというよりも、子供に対する親の心情が育っていないからなのです。

 もし、子供のことを可愛いと思えなくなったら、子供との時間をつくる必要があります。情が育つには時間がかかります。もう一度子供との情関係をつくる時間を取ります。そして、夫婦が愛し合って結婚して、子供が生まれたころを思い出しながら子供に対する愛情を復帰していくのです。

---

 次回は、「厳愛と慈愛」をお届けします。