2023.09.30 17:00
心をのばす子育て 6
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。
長瀬雅・著
1、子育ての原理と個性
■子育てのスタートとゴール
子育てにおいて最も大切なのは「スタート」と「ゴール」です。体育の時間にラインマーカーでまっすぐな線を引いたことを思い出してみてください。まっすぐな線を引くコツは、まずスタート地点をしっかりと定めて、後はゴールを目指して行くことです。地面はデコボコしていますから多少はゆがみますが、大体まっすぐな線が引けます。目先だけを見て引いていると、まっすぐに引いているつもりでも、気がつくととんでもない所に行っていたということがあります。
子育ても同じです。このスタートとゴールが定まらず、幼稚園や小学生の段階で良い悪いとか、大丈夫だとかという目先の見方をしていると、気づいた時にはとんでもないことになっている可能性があります。子育てにおいて、何も問題が起こらないということはありません。いろいろな問題が起こってきます。友達との仲が悪くなったり、いじめられたり、学校に行きたくないと言い出したり、先生との人間関係につまずいたり、さまざまな問題が起こります。その時にもスタートとゴールが定まっていれば、軌道修正が効くのです。逆に問題を起こさないようにとばかり考えて子供を守っていると、ひ弱な子供になってしまいます。しっかりとゴールを見つめながら、その時に合わせた子育てをしていきます。
まず子育てのスタート、これはやはり「親」です。子供は親から生まれます。学校より親のほうが子供に対する影響ははるかに大きいものがあります。学校では担任が担当するのは1年間か、2年間です。さらに30人、40人のクラスを一人の先生で見るわけですから当然無理がきます。それに対し親は一対一で見るわけですし、赤ちゃんのときからずっと見ています。さらに学校はいつか卒業します。そうなると、最終的には親が責任をもたなければなりません。ですから子供には家庭が最も大切なのです。子育てで失敗するのは、子供だけを変えようとするからです。子供を変えようと思ったら、まずスタートである親が変わらなければいけません。さらに、この親というのは夫婦です。子育てに関する夫婦の意見が統一されている必要があります。子育ての「基本的な考え(子育ての原理)」が一致していないと、子供が混乱します。
子育てのゴールとは「子育ての目的」です。子育てとは何を育てるのか、これが定まっていないと子育てがゆがみます。この目的を考える時、参考になるのが動物の子育てです。動物は子供を産むと、まずエサを与えながら敵から守って育てます。子供が小さいうちは与える一方ですが、大きくなるに従い訓練が始まります。エサの取り方とか敵からの逃げ方など、生きていくための訓練をします。その子育てが、ある日突然に終わります。その日は子供が巣に帰って来ても、親は巣に入れないで追い出すのです。その日がどのような時かというと、それは、子供が一人前になって一人で生きていけると親が判断した時なのです。
人間と動物は違いますから、子供を追い出すということはありませんが、基本的な考えは同じです。つまり子育ての目的とは、子供を「一人前の人間にする」ことなのです。親がいなくても大丈夫な人間に育てることが子育ての目的です。ですから子育ての目的は「親子が離れること」とも言えます。少し寂しい感じもありますが、子供はペットではありません。ペットは自分の慰めのために飼うのですが、子供はペットではありませんから責任があります。愛すれば愛するほど親は子供から離れていかなければなりません。
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次回は、「親の愛情がすべてのカギ」をお届けします。