終活ポイント講座 7

 『祝福家庭』(2020年春季号、夏季号、秋季号)に掲載された「終活ポイント講座」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 「老後」と「聖和」に対する備えに関して、行政書士の石原登文先生(6000双)に解説していただいています。

※法律や制度は2020年9月時点のもので、今後、変わることがあります。

10 相続の手順
 相続手続きの委任を受けると、私はまず、被相続人の出生から死亡までの一連の①「戸籍謄本」②「除籍謄本」を取得します。さらに、住民票の異動履歴が記載される③「戸籍の附(ふ)票」と、本籍地が記載される④「住民票の除票」も取得します。

 これは同姓同名の別人ではなく、同一人物であることを確認するためです。これらは故人の本籍地の自治体に申請するため、遠方の場合は郵送で取り寄せています。

 次に故人が住民登録をしている自治体の資産税課(東京都の場合は都税事務所)で、⑤「名寄帳(なよせちょう)」を請求します。すると故人名義の不動産の一覧を入手できます。他の自治体に不動産がある場合は、その自治体にも請求します。

 これらの書類をもとに⑥「固定資産の評価証明書」⑦「登記事項証明書」を取得します。これで故人名義の不動産の地積や地目、種類、金額に換算した場合の一つの目安が分かります。また、預貯金や有価証券について金融機関で調査し、これらの情報をもとに財産目録を作成します。

 さらに、取得した被相続人と相続人の戸籍謄本等をもとに相続関係説明図を作成します。

 そして故人の遺言書があればそれをもとに、なければ相続人の間で協議して、遺産分割の内訳が決められていきます。

 遺産をどのように分けるかについては、現物分割、換価分割、代償分割の3つの方法があります。


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 相続人同士が話し合っても協議がまとまらないときは、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。その場合は家庭裁判所の調停員が間に入り、話し合いを進めます。

 それでも合意しないときには、「遺産分割審判」で家庭裁判所が結論を出します。相続人はその結論に従わなければなりません。しかし、このような方法は相続人の人間関係に修復不可能なほどの大きな傷をつくることが多く、なるべく穏やかな話し合いでまとめたいものです。ほかにも、協議が複雑化した事例があります。


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 次回は、「スムーズに相続を進めるための方法」をお届けします。