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心をのばす子育て 4

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「心をのばす子育て」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 子育ての本質を理解し、個性に合わせた教育で幸せな家庭を築くための教材としてぜひお読みください。

長瀬雅・著

(光言社・刊『心をのばす子育て7つのポイント』〈2002210日第2版発行〉より)

1、子育ての原理と個性

■「原理」と「個性」の二面性

 世の中に子育てに関する本は数多くあります。ところが、その子育ての本はほとんどが幼児教育です。問題が表面化する中学生以上の子供に対しては、勉強に関する本ばかりで、子育てとしての本がありません。また、子育ての本には多くの例題が出ていますが、例題として出される子育ての「表現や言葉や行動」は個性に属するものです。時代や家庭によって変わるという個人差のあるものです。

 一つの例を出しても、それが自分の子供にも良いとは限りません。話し好きな母親と無口な母親の言葉は、同じ一言でも子供が受ける印象はずいぶん違います。たくましい子もいれば、繊細な子もいます。叱(しか)られてシュンとなる子もいれば、平気な子もいます。誉(ほ)めてあげれば伸びていく子もいれば、逆にずうずうしくなってうぬぼれていく子もいます。兄弟でも違います。ですから一人一人に合わせた子育てを考えなければなりません。十の家庭があれば、十の子育てがあります。ですから個性の部分だけを扱っていたのでは子育ては混乱するだけです。さらに、子供を育てる状況は千変万化します。本に書いてあるような状況が都合よく起こるとは限りません。すべての状況を想定していたら大変です。

 ただ、このように一人一人の子供は違いますが、共通部分もあります。どの子供も同じ人間です。ですから誰でも誉められればうれしいし、叱られたら悲しいものです。この共通部分が「原理、原則」と言われるものです。

 子育てには「原理」と「個性」という二つの側面があります。学校の先生も大学で教育原理や教育心理などを学びます。同じように親も子育ての原理や心理を学ぶ必要あるのです。子育てをするなら、まず「子育ての原理」を最初に学び、次に個性を考えていくのです。子育てとは何か、何を育てるのか、どうしたら育つのかといった子育ての本質を知ることが子育ての始まりです。そして次に、子育てに対する基本的な「心構え」を確立していきます。

 子育てを頭で考えていては混乱します。それに頭で考えた表現はどこか不自然なものです。その不自然さは子供にはすぐ伝わります。愛に基づいた子育ての本質を理解して「心構え」を身につければ、その後の表現は親の個性に合わせて自然に出てきます。そして本や人の意見が参考になるのです。

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 次回は、「不登校と心理カウンセリングの問題点」をお届けします。