2023.09.15 22:00
統一原理補講 9
イエスを中心とする復帰摂理②
ナビゲーター:佐野邦雄
「統一原理補講」は、1993年7月から1994年8月にかけて、あの伝説のメディア『氏族教会FAX-NEWS』に掲載されたシリーズです。
執筆者は、原理講師として著名な佐野邦雄氏です。30年の時を超えてよみがえる原理学習ページ。統一原理学習の補助教材としてご活用ください。(一部修正加筆し、小見出しを付け、読みやすく改訂しました)
イエスと一つになれなかった洗礼ヨハネ
第1次世界的カナン復帰路程は、洗礼ヨハネがイエスと一つになれなかったことにより失敗してしまいました。
そしてそのことにより、イエスが栄光の主となり、真の父母として万民を重生させ、王の王として世を治める道はふさがれてしまいました。
神はその失敗を蕩減復帰せしめるために、第2次世界的カナン復帰路程を摂理されました。
それはモーセを中心とする第2次民族的カナン復帰路程がミデヤン荒野40年に始まり、イスラエル民族を率いて荒野を迂回(うかい)する苦難と試練に満ちた内容であったように、イエスにおいても荒野における40日断食と三大試練に始まり十字架に至るという、実に苦難に満ちた路程となったのです。
イエスが洗礼ヨハネの使命を代理する
洗礼ヨハネの失敗により失われてしまった「メシヤのための基台」は、ヨハネに代わる中心人物が立たない限り蕩減復帰することができません。
しかし当時のヨハネは、イエスが「女の産んだ者の中で最大の人物」と記した(マタイ11:11)ほどの人物でありましたから、これを蕩減する人物を見いだすことはほとんど不可能でした。
残された唯一の道は、イエス自身がその使命を代理するということでした。
そこでイエスはいったんメシヤの立場を離れ、堕落人間(罪人)を代表する立場に立たれ(マタイ16:20)、蕩減復帰の中心人物として第2次世界的カナン復帰摂理を担当したのです。
このような背景から、イエスを中心に立てられた「信仰基台」を復帰するための蕩減条件である荒野における40日断食祈祷(マタイ4:2)と三大試練(マタイ4:3~10)は、次のように理解できます。
・40日断食は、ヨハネの代理として「40日サタン分立基台」を立てられた。
・サタンの三大試練は、堕落人間の立場から本来のメシヤの位置に戻るために、三大祝福をサタンから奪い返す条件として立てられた。
イエスはこれらの試練を見事に勝利しましたが、イエスが堕落人間の陥りやすい肉欲・名誉欲・所有欲の誘惑を創造原理のみ言で分別していかれた姿を教訓として、私たちも徹底して創造本然の人間の基準を貫くために、原理(み言)による完全武装をしなければならなりません。
第2次路程の実体基台とその失敗
第2次民族的カナン復帰路程は、モーセがイスラエル民族を率いて荒野を進む中で、会衆の不平不満を押さえるという消極的理由から神に寄り頼み、数々の奇跡を見せながら、「実体基台」を復帰しようとするものでした。
しかし、神の摂理の目的が分からない会衆(寄り集まり人)は、恵みが与えられたその時は、神を賛美し喜びの声を上げたとしても、環境が変わり新たな試練に見舞われることによって、たちまちその態度を変え、不信に陥りモーセに向かって不平不満の叫び声を上げる暴徒と化し、結局最後までモーセと一つになることができませんでした。
これらのことは、外的な奇跡や癒やしによって追従する人々は真の信仰者として立つことの困難さを教えています。
第2次世界的カナン復帰路程を出発したイエスは、蕩減復帰の観点から洗礼ヨハネやモーセ路程の失敗を教訓として人々を導き、着実に信徒を育成しつつ、「実体基台」を復帰しなければなりませんでした。
しかし実際イエスがユダヤ人を伝道し呼び集めるために取った方法は、外的な奇跡や癒やしによって神の権能を現そうとするものでした。
その結果イエスに従った者の多くは、無学で神の摂理もイエスの価値も分からぬ人々であり、そのことの故に祭司や律法学者など、最もイエスの近くに侍ってイエスと民衆を一つにすべきであったユダヤの指導者たちをつまづかせてしまう原因ともなったのです。
そして当初は、神の恵みに感謝してイエスに従った弟子たちも、律法学者やパリサイ人と衝突し、やがてユダヤ社会からの迫害に直面した時、命懸けでイエスに従おうとするものは一人もなく、イエスを見捨てて逃げて去ってしまいました。
その結末は、イエス自身が全ての人間の不信の罪を負って十字架の道を行かざるを得ないというものだったのです。
今日再臨時代を歩む私たちが、み言を中心とする内的覚醒と蕩減条件に基づく血と汗と涙の歩みでなければならないといわれる理由は、過去の多くの失敗を教訓とする重要な結論であるからに他なりません。
第3次世界的カナン復帰路程
第3次に延長された世界的カナン復帰路程は、第2次路程の蕩減復帰としてのイエスを中心とする霊的カナン復帰路程と、本来のメシヤとしての目的使命を成し遂げるための再臨主を中心とする実体的カナン復帰と見ることができます。
モーセを中心とする第3次路程は、第2次路程の失敗を幕屋を中心とする荒野流浪40年で蕩減復帰しながらも、モーセの磐石二打の失敗により崩れ、幕屋を中心としてヨシュアに継承されて実体的カナン復帰路程で結実するものでした。
そのごとくに第3次世界的カナン復帰路程は、十字架で肉体にサタンの侵入を受けてしまった第2次路程の失敗を、イエスの絶対的信仰による40日復活伝道によって蕩減復帰し、霊的実体神殿(幕屋)となった復活イエスと聖霊を中心とするキリスト教が迫害されながらも築き上げてきた2000年の霊的救いの勝利の基台の上に、再臨されるメシヤによって霊肉共の実体的救いとして結実していくことを意味するものです。
再臨時代を生きる私たちは、ヨシュアを中心とする路程とイエスを中心とする霊的カナン復帰路程を蕩減復帰するものとして、
・神に対する絶対的信仰と忠誠の確立
・神が立てた中心人物との完全心情一体
・実体蕩減としての愛と犠牲の歩み
・内的み言による愛の人格完成と、真の家庭を中心とする地上天国の実現
以上の諸点を特に心がけて歩むべきでしょう。