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統一原理補講 8
イエスを中心とする復帰摂理①

ナビゲーター:佐野邦雄

 「統一原理補講」は、1993年7月から1994年8月にかけて、あの伝説のメディア『氏族教会FAX-NEWS』に掲載されたシリーズです
 執筆者は、原理講師として著名な佐野邦雄氏です。30年の時を超えてよみがえる原理学習ページ。統一原理学習の補助教材としてご活用ください。(一部修正加筆し、小見出しを付け、読みやすく改訂しました)

 イエスを中心とする復帰摂理は、それまでのアブラハム(イサク・ヤコブ)の家庭を中心とする復帰摂理と異なります。
 それまでの摂理担当の中心人物たちが「メシヤのための基台」を造成するために蕩減路程を歩んだのに対し、イエスはメシヤご自身であり、後のアダム(コリントⅠ 15:45)として、堕落したアダムそのものの失敗を蕩減復帰しなければなりません。

イエスがメシヤとして降臨された目的
 イエスの本来の使命は、アダムの蕩減として、神がアダムに願われたみ旨を成就すること、すなわち三大祝福を完成することです。

・そのためにイエスは、個人路程において、神の息子としての完成基準を立てなければなりませんでした。
 イエスが神のひとり子と呼ばれ、神を父と呼んで、神の宮(コリントⅠ 13:16)として役事したのはこのためです。

・次にイエスは堕落したエバを復帰し、本然の結婚と子女繁殖によって本然の家庭を形成し、真の父母となって全人類に神の祝福を与えることを通して、人類を重生させる役事をしなければなりませんでした。

・そして最終的には、サタン(天使長ルーシェル)を自然屈伏せしめ、被造世界を主管した王の位置を確立し(コリントⅠ 15:27)、地上天国を成就すべきだったのです。

洗礼ヨハネの使命
 モーセ路程で、ヨシュアを中心にカナン復帰したイスラエル民族がイスラエル統一王国を形成すれば、その時すでにイエスは降臨され、その目的を果たすことができたのです。
 しかし実際には、12部族による土地分割と定着後のカナン七族からの悪習の影響により、イスラエル民族は偶像崇拝に流されてしまいました。
 その結果イエスを迎える基台が立たず、再び摂理は延長し、結局はエジプト苦役時代に始まる2000年の蕩減期間を払ってメシヤ降臨の時を迎えたのです。

 時代は変わり、メシヤ降臨のために必要とされた範囲もギリシャやローマに対抗し得る世界的段階に移っていました。
 そのため神は、当時、女の生んだ者の中で最大の人物と目されていた洗礼ヨハネを選び、中心人物に立てられたのです。

 洗礼ヨハネの使命は、第一にモーセの蕩減復帰をすることでした。
 そのために、洗礼ヨハネは荒野で「40日サタン分立基台」を立てるための荒業を重ね、み言を悟り、悔い改めのバプテスマを民衆に施す権能を神から授かりました。
 実際、人々からは「この人こそメシヤではないか」と思われるほどの信頼を得たのでした。

 洗礼ヨハネの第二の使命は、イエスをメシヤ(キリスト)として直接証しすることでした。
 洗礼ヨハネが、その家系から、その才能や行動の全てが恵まれ衆目を集めたのは、自身の名誉のためでなく、イエスをメシヤとして証しするという一点のためでした。
 それは、天使長ルーシェルが後にアダムを立派に育成するために最高の位置と能力に恵まれていたことと似ています。

第一次世界的カナン復帰路程
 世界的カナン復帰路程は、中心人物として立てられた洗礼ヨハネを中心とする復帰摂理と見ることができます。
 洗礼ヨハネが蕩減条件を立て、「信仰基台」と「実体基台」を復帰することができれば、イエスの十字架に至る苦難の路程はなく、栄光の主としてメシヤ本来の目的を果たすことができたに違いありません(コリントⅠ 2:8)。

 前項で述べた洗礼ヨハネの二つの使命のうち、第一の使命は完遂することができました。つまりモーセの失敗を蕩減復帰し、「信仰基台」と「実体基台」は復帰することができたのです。
 このことは、アベルとカインに課せられた責任を果たし、アダムの立場を復帰し得たことを意味します。

 洗礼ヨハネが果たすべき使命はもう一つ残されていました。
 それはアダムを育成し完成させるべき天使長としての使命であり、これがイエスと出会い、洗礼を施し、イエスを証しする弟子として侍りながら、それまでの自らの栄光の全てをイエスに託して天に帰するということです。

 しかし結果は無念にも、天使長ルーシェルがアダムとエバを前に愛の減少感に陥り、自ら過去の栄光が忘れられず、エバを堕落させてしまったごとくに、洗礼ヨハネもイエスを民衆に証ししながらも、自らは運命を共にすることのできない結末となってしまいました。

 このことは、その後再臨の時代にあっても、最後の課題として私たちに残されています。
 聖書に偽キリストの出現を警告し、実際今日の私たちの内にも、過去の栄光に固執し、新しい摂理に呼応し得ない現実があるのを見るにつけ、これこそキリスト教徒をはじめとする私たち成約時代(現在は、天一国時代)の聖徒たちに残された最後の蕩減課題ということができるのです。



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