家族の絆づくり 284
SMART(スマート)」な目標設定を

ナビゲーター:阿部 美樹

目標をどのように決めるか
 「人生において何を目標にするのか」「何をゴールにするのか」は、極めて大切なことです。
 行き先を決めずに車を運転することがないように、人生の理想・願いを目標として明確にすることは、幸せな人生を実現するために必要なことです。

 しかし目標を決めるときに、一番頭を悩ますのは、どのようなレベルに設定するかです。あまりに目標が高いとプレッシャーに押しつぶされたり、負け癖ができたりする可能性があります。

 かといって、簡単に楽にできてしまう目標では成長もなく、喜びもありません。これは個人の目標だけでなく、家族での目標、組織でのチーム目標においても同じです。

 そこで望ましい目標設定をするためには「基準」が必要です。そこでよく用いられるのが「SMART(スマート)」という五つの基準です。

 第一は、「具体的(Specific:漠然とではなく、具体的な結果の達成を目指す)」です。

 第二は、「測定可能(Measurable:数値測定できるなど、成果を客観的に測定できる)」です。

 第三は、「達成可能(Achievable:高すぎたり低すぎたりせず達成可能である)」です。

 第四は、「現実的(Realistic:無理があったり惰性になったりせず現実に合っている)」です。

 第五は、「期限付き(Time-bound:いつから、いつまでやるかという期限が明確である)」です。

 この「具体的」「測定可能」「達成可能」「現実的」「期限付き」の英語の頭文字から「SMART」といわれています。

目標を誰が決めるか?
 ここで大切なことは、この基準を誰が決めるかです。
 個人の目標であれば、自分で決めるわけですが、家族目標やチーム目標の場合が問題です。
 親やリーダーが勝手に決めるのではなく、チーム全体で話し合う場が必要です。チーム全員で目標レベルの分析や検討をするならば、適正かつ納得感のあるゴール設定ができます。

 また、目標の高さに加えて、その課題が自分たちで何とかできるものなのか、コントロールの可能性を見極めることも必要です。
 目標達成のための課題解決が、自分たちがいくら頑張ってもコントロールできないことであれば、「主人意識」を持った姿勢ではなく、「誰か」や「何か」を変えようとする要求の姿勢になってしまいます。

 チームの権限内でのコントロール可能な目標であってこそ、成長や発展につながります。
 今一度、私はどんな目標を掲げているのかを「SMART」の視点から見つめ直してみてはいかがでしょうか。