終活ポイント講座 3

 『祝福家庭』(2020年春季号、夏季号、秋季号)に掲載された「終活ポイント講座」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 「老後」と「聖和」に対する備えに関して、行政書士の石原登文先生(6000双)に解説していただいています。

※法律や制度は2020年9月時点のもので、今後、変わることがあります。

4 医療保険制度
 75歳になると、「後期高齢者医療制度」に組み込まれます。保険証には、後期高齢者との文字が印刷されています。

 医療費の本人負担額の割合は、基本的に1割です。現在のところ、現役並み所得者の場合、75歳以上でも3割負担になります。

 高齢者が高額な医療費を支払う場合がありますが、日本には「高額療養費制度」があり、一定の要件を満たして申請すると、あとで所定の金額が戻ってきます。1つの医療機関において、その月に自己負担限度額を超えて支払った場合、超えたぶんが払い戻される制度です。自己負担限度額は、その人の年齢と収入によって違いがあります。

 ただし、保険外の診療費、食費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは対象外となります。

 税務署に確定申告をする際に、医療費控除の明細書を添付することで税金が減額される、「納税者における医療費控除」とは別です。

5 救急情報カードと緊急通報システム
●救急情報カード
 緊急時の連絡先、かかりつけの医療機関、薬、災害時の配慮事項などの情報を記入するカードを、「救急情報カード」と言います。全国の各自治体の窓口で配布しています。自治体により、名称を変えている場合もあります。

 救急隊員などが確認できるようにしておくことで、素早い救命活動と安否確認につなげるものです。外出時は携帯し、家の中では冷蔵庫の扉に貼り、もしもの時に備えます。

 緊急時の連絡先には、いちばん信頼する家族、あるいは親族の連絡先を記入するのですが、できればここにもう一人、教会の関係者の連絡先を入れておくことをお勧めします。本人が倒れた際に連絡が入ることで、お見舞いなど教会としての対応ができるようになります。

●緊急通報システム
 独り暮らしなどの高齢者や重度身体障害者の方が、地域で安心して暮らすため、利用者の自宅に機器などを設置し、緊急事態の発生をボタン一つで通報できるようにするシステムです。

 自宅で発生する急病などの緊急時に、利用者がペンダント型の無線発報機、または通報機本体の緊急ボタンを押すと、自治体が委託している民間受信センターに通報され、消防署などを中心に救助活動が開始されます。

 対象者の条件や毎月の利用料金には、自治体により多少違いがあります。民間企業が行うサービスもありますが、利用料金が割高になることが多いです。

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 次回は、「高齢者の自動車運転免許の更新と返納制度/エンディングノートと延命治療」をお届けします。