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家族の絆づくり 282
「ジョハリの窓」で相互理解を深める

ナビゲーター:阿部 美樹

四つの心の窓
 対人関係を深めるためには、他者に隠している心を素直に開く、自分の気付いていない点を他者から指摘してもらう、相互に理解している領域を広げることが大切です。

 このようなときに有効なのが「ジョハリの窓」です。
 これは、自己分析をしながら他者との関係を知ってコミュニケーションを模索する心理学モデルです。

 発表したのはサンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト(Joseph Luft)とハリ・インガム(Harry Ingham)で、二人のファーストネームを取って「ジョハリの窓」と呼ばれるようになりました。

 人には「公開されている自己(開放の窓)」と「隠された自己(秘密の窓)」が存在します。さらに、他者の視点からの「自分は知らないが他者は知っている自己(盲点の窓)」や「誰にも知られていない自己(未知の窓)」もあります。

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自己開示とフィードバックで理解を深める
 普段私たちは、自分が知っていて他者も知っている私を自分だと思っています。これを「自己概念」と呼びます。
 このような心の世界を「窓」に例えるなら、自分に開かれて、他者にも開かれた状態なので「開かれた窓」と表現できます。

 そして、他者が知らない隠された自分を「実は…」と自分の心の中を開く(自己開示)すると、「隠された窓」が開けられ、その領域が広まっていきます。

 さらに、自分では気付いていない私を他者から教えてもらう(フィードバックされる)と、「気付いていない窓」が開けられ、自分を理解するのに役立ちます。

 このような「自己開示」と「フィードバック」を繰り返せば、相互理解が深まると同時に、互いが知らなかった自分をどんどん開発されていくことでしょう。

 この時に、自分がどれだけ心を開いているか。他者の指摘をどれだけ受け入れているかが問われます。
 案外、人の目が気になるので、無意識に自分の心を隠し、他者から指摘されないようにガードする傾向があります。
 しかし、オープンに自己開示する人の方が、他者に対して親近感や信頼感を与えることでしょう。

 また、他者は自分をどう捉えているのかという「気付き」を通して自己理解を深めようとする人の方が、自分の知らなかった個性や能力を知り高めることができるでしょう。
 今一度、他者との関係で、自分の心の窓をどのくらい開けているのか確認してみましょう。