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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

プリゴジン氏の死亡、驚きの声が上がらない異常さ

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、821日から27日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 北朝鮮の干拓地で大規模冠水被害~金正恩氏、金徳訓首相の問責を指示(21日)。南アフリカのヨハネスブルクでBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の首脳会議始まる(22日)。プリゴジン氏搭乗の自家用ジェット機が墜落、全員の死亡を確認(23日)。北朝鮮が「衛星」の打ち上げ、失敗を認める(24日)。ウクライナ軍、クリミア半島に一時上陸(24日)。福島第一原発処理水の海洋放出開始(24日)、などです。

 823日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリジン氏が搭乗していた自家用ジェット機がモスクワからサンクトペテルブルクに向かう途中に墜落し、搭乗していた乗客乗員10人全員が死亡しました。

 ロシア政府は、現場から飛行データを記録したブラックボックスを回収したと発表。身元確認のためDNA鑑定が行われ、その結果、プリジン氏らの死亡を確認したのです。

 プーチン大統領は24日、プリジン氏らの死亡を事実上認めていました。「重大な過ちもあったが、有能なビジネスマンだった」と述べ、家族に哀悼の意を表しています。
 ロシアのプーチン独裁体制に盾突いた反逆者には残酷な末路が待つ。このセオリーが今回も適用され、「血の粛清」史の新たな1ページとなるのでしょうか。

 バイデン大統領は、「(墜落に)驚いてはいない。ロシア国内の出来事でプーチン氏が背後にいないことはあまりない」と語りました。
 米国防総省のライダー報道官も、「プリジン氏は暗殺された可能性が高い」と指摘しています。

 墜落したのは、6月の反乱(23日)からちょうど2カ月後でした。
 プーチン政権はプリジン氏による反乱以降、批判勢力の排除を進めていました。
 7月下旬にはロシア軍指導部やプーチン政権をSNSで繰り返し批判していたイーゴリ・ギルキン氏を拘束。墜落前日には反乱計画を事前に知っていたとされるウクライナ侵略のスロビキン副司令官が解任されています。

 プーチン政権の「血の粛清」に遭った犠牲者は、「チェチェンの闇」を暴いて暗殺された女性記者のポリトコフスカヤ氏や元情報機関員リトビネンコ氏など、枚挙にいとまがありません。

 今後、ワグネル戦闘員の動きが注目されます。
 現在ベラルーシに滞在しているワグネル戦闘員は反発しているといいます。ロシアの国内情勢が再び緊迫化する可能性も否定はできません。ウクライナ戦争の行方に関わってきます。



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