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シリーズ中級講座 26
家庭盟誓<3>

 世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。

伝道教育局副局長
入山 聖基

家庭盟誓 1
 天一国(てんいちこく)主人、私たちの家庭は、真の愛を中心として、本郷の地を求め、本然の創造理想である地上天国と天上天国を創建することをお誓い致します」

①天一国主人
 家庭盟誓(カヂョンメンセ)1番から8番まで、全て「天一国主人、私たちの家庭は、真の愛を中心として」というフレーズで始まります。ですから、ここに家庭盟誓の全体を貫くテーマがあると思います。

 そのキーワードの一つが、「天一国主人」です。「天国に入ることを願った人は多かったが、天国を責任をもって建てようとする人はいなかった」(『御旨の道』 219ページ)とあるように、天一国主人とは、“天国をつくる者”のことです。

 私たちは、天一国をつくる主人としての自覚を持って生活していかなければなりません。自宅の建築中に、「何でこんなにお金をかけ、苦労して家を建てなければならないんだ!」と文句を言う人はいないでしょう。自分が家の主人であり、当事者だからです。同様に、“自分の国は、自分で建てる”という精神を持ってこそ、あらゆる困難を甘受できるのです。これが「建国精神」です。

 真の父母様が、「盟誓文の中の第一番は、皆さんが故郷に帰っていき、神様の創造理想を再び創建しなければならないということです」(『真の家庭と家庭盟誓』55ページ)「『本然の創造理想である地上天国と天上天国を創建する』ということは、地上天国と天上天国を私がつくるということです」(同、112ページ)と語っておられるように、家庭盟誓は、正に“天一国の建国精神”なのです。「天一国主人、私たちの家庭は」と唱えるたびに、「私は天一国時代の主人である」という自覚を胸に刻んでいきましょう。

②真の愛
 次のキーワードが、「真の愛」です。聞き慣れた言葉ですが、改めて、「真の愛とは、どんな愛なのでしょうか?」と尋ねられたら、皆さんは何と答えますか。言葉で一概に表現するのは難しく、漠然としているかもしれません。

 真の愛について、天一国経典『天聖経』から引用してみます。

神様とだけ関係を結んだ愛
 「真の愛は、神様と関係を結んだ愛です。自分や世の中の習慣性、風習、国民の伝統のようなものと関係を結んだ愛ではありません。……神様の愛に接するためには、自分の愛という習慣性や伝統を完全に否定しなければなりません」(13391340ページ)

 生命を超えなければ、愛は復帰できません。神様は、アダムとエバに「取って食べてはならない。食べれば死ぬ」と言われました。それは、ただ未完成期に男女関係を結んではならないという戒めとしてだけでなく、愛と生命はつながっているので、愛を失えば生命を失うことになるという真理を教えられたのではないでしょうか。愛を失い、生命までも失って苦しんできた人間たちは、生命の峠を超えてこそ、真の愛に至る道が開かれるのです。

投入して忘れる愛
 「真の愛は、自らの生命までも投入し、また投入しようという立場、与えて、また与えて忘れてしまうことができる立場から始まります」(1340ページ)とあるように、真の愛とは、無条件に与え、投入する愛です。

 一般的に愛とは、「好き」とか「嫌い」のような感情的なものと考えられがちです。しかし、このみ言を読めば、変わらずに与えようとする強い意志であり、その意志に基づく行動だと分かります。だからこそ、嫌いな人も愛することができ、怨讐(おんしゅう)をも愛することができるという真理が現れるのです。真の愛には、敵という概念がありません。

一つにする愛
 「真の愛は、体と心が一つになり、夫婦同士が一つになり、子女と一つになる基準の上で広がる愛です」(1339ページ)、「心と体を統一させるにも、愛がなければできません」(885ページ)

 真の愛は一つにする愛であり、統一する愛です。「統一」とは、私たちにとって特別な言葉ですが、それが何を意味するのか思想的によく理解していないと、誤解を招く可能性があります。例えば、「世界を統一する」というのは、どういう状態になることを言うのでしょうか。皆様は、“私たちの考えが正しいので、全ての国は、私たちの主管下に入らなければならない”と考えていませんか。それでは、従う者と従わない者に分裂することになります。

 その極端な例が共産主義思想です。従わないと、どうなりますか。粛清されるのです。本来、統一からは、分裂と闘争は生まれません。異質なものまで全てを包括するからです。真の愛で消化するということです。それゆえ、真の父母様の愛と精神は、「怨讐までも愛する」となるのです。それこそ、真の愛による統一の概念であり、統一思想です。それは、心身、家庭、氏族を一つにするときにも通じます。

③本郷の地
 「本郷とは、どのような所でしょうか。行きたくて、見たくて、暮らしたい、そのような所です。……今までの歴史過程において、数多くの人々がこのような本郷を慕い、追求し、欽慕する途中で死んでいきました。また、今までの数多くの宗教人や哲人たちも、この本郷の地を探すために苦労してきたということを、私たちは知らなければなりません」(『真の家庭と家庭盟誓』103ページ)

 「家庭盟誓は祈り」と述べましたが、その祈りに込められた願いは、人類歴史を貫くものです。それが、「本郷の地」であり、神と人が共に暮らす安息の地、天国です。過去の中心人物、中心家庭、中心民族、すなわち選民をはじめ、信仰者たち、そして善なる人々が捧げてきた祈りの結実がここにあります。

 家庭盟誓は、霊界と地上界の全ての人々がこいねがった本郷の地を実現するための祈りです。私たち一代を見れば、不足を感じることも多くありますが、そのような思いが、私たちの背後に連結されていることを忘れてはなりません。私たちは、気が遠くなるような復帰摂理歴史における、リレーのアンカーのような立場に立っているのです。