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統一原理補講 5
モーセを中心とする復帰摂理①

ナビゲーター:佐野邦雄

 「統一原理補講」は、1993年7月から1994年8月にかけて、あの伝説のメディア『氏族教会FAX-NEWS』に掲載されたシリーズです
 執筆者は、これまた伝説の原理講師、佐野邦雄氏です。30年の時を超えてよみがえる原理学習ページ。統一原理学習の補助教材としてご活用ください。(一部修正加筆し、小見出しを付け、読みやすく改訂しました)

 アブラハムの家庭を中心とする復帰摂理において、アブラハム・イサク・ヤコブの三代の家庭をかけて「メシヤのための家庭的基台」が造成されました。それによって、アダム家庭におけるアダム・エバの失敗を蕩減復帰し、メシヤを迎えることのできる蕩減条件を立てることができたのです。

 しかしアブラハムが象徴献祭を失敗することによって失われたノアからアブラハムまでの400年間を復帰するための蕩減期間400年間と、アダム家庭におけるもう一つの失敗であったカインがアベルを殺害することによって始まった悪(サタン)先行の歴史を蕩減復帰するための蕩減条件を立てなければ、実体的にメシヤを迎えることはできません。

 ヤコブをはじめとする子孫が、エジプトの地へ移住し、400年にわたって繁殖し氏族を形成しながらも奴隷として苦役生活を強いられたのはこのためです。
 そしてその蕩減条件の上に「メシヤのための民族的基台」を造成するためにモーセを中心とする復帰摂理が立てられました。

 モーセを中心とする復帰摂理は、民族的カナン復帰路程として、その規模と内容において、それ以前の家庭的摂理に比べれば、はるかに壮大なスケールで展開しました。
 しかしその根本目的はどこまでもアダム家庭で失われた全ての内容を蕩減復帰することですから、民族的範囲において、モーセを中心とする信仰基台と実体基台を復帰しなければなりませんでした。

 ここではそれ以前の信仰基台と実体基台との相違点を明らかにしつつ、モーセ路程全体を概観してみましょう。

1)信仰基台を復帰する中心人物
 第一は、出エジプト記7章1節に「見よ、わたしはあなたをパロに対して神のごときものにする」とあるように、モーセはイスラエル民族やエジプト人に対して神の代理として立てられました。
 それは神がモーセの口に直接み言を与え、数々の奇跡を起こす権能を授けられたことからも明らかです。

 では、モーセがそのような位置に立てられた理由は何でしょうか。
 「メシヤのための基台」を造成する復帰基台摂理時代では、僕(しもべ)の僕の立場に落ちてしまった人間に対して神が直接責任を担われて導かれました。

 それに対して「メシヤのための基台」が造成された後は、例えば神の僕のような立場にあったモーセやイスラエル民族であったとしても、人間の責任において摂理を担当する復帰摂理に入ったからです。

 従ってみ言を与え、奇跡を起こされる主体は、神ご自身であったとしても、それを語り実行する責任はどこまでもモーセ(人間)にあるということを知ることができるのです。

 第二は、モーセは将来メシヤとして降臨されるイエスの模擬者でした。
 申命記18章18節に神がモーセに対して「わたしは彼らの同胞のうちから、おまえのようなひとりの預言者を彼らのために起こして、わたしの言葉をその口に授けよう。彼は私が命じることを、ことごとく彼らに告げるであろう」と言われたことは、それを暗示したのであり、使徒行伝3章22節にもそれが記されています。
 ここで述べられている意味は「メシヤ的使命を帯びた人物ということです。故にイスラエル民族を救済するためにエジプトの地より脱出し、カナンの地へと導いたのです。

 モーセはその生い立ちから死に至るまで、イエスの歩まれた生涯と類似しており、まさしくイエスの表示路程でした。
 ここで重要なことは、その路程こそ人類がサタンを屈伏する典型的路程であるということです。

 モーセ自身も自分の考えで歩んだのではなく、すでに復帰基台摂理時代で勝利基台を立てたヤコブの路程を見本として歩んだのです。
 この時代は神が直接責任を取られ、ヤコブを通してそれを教示してくださったのですから、サタン屈伏の典型的路程とは神が立てられた路程であったということができます。

 ヨハネによる福音書5章19節を見れば、イエスが「子は父のなさることを見てする以外に自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである」と言われています。
 メシヤであるイエスにおいても、その原則に従ったとすれば、私たちはなおさら原理原則どおりに歩まなければ絶対にサタンを屈伏することはできないということです。
 今日、神の摂理を担当する一人一人がそのことを深く自覚しなければなりません。

2)信仰基台を復帰するための条件物
 本来、信仰基台とは、アダムとエバがその成長期間において神のみ言(戒め)を忠実に守り、み言(三大祝福)の完成実体となることでした。
 しかし復帰基台摂理時代においては、堕落人間が直接、神のみ言に相対し得ない時代でしたから、神の命ずるままに供え物(万物)を献祭するという象徴的蕩減条件を立てられれば、神がそれを「信仰基台」として受け入れてくださったのです。
 モーセ以降の復帰摂理時代は、神から受けたみ言そのものを40年蕩減期間(サタン分立期間)に立てて実践しなければならなかったのです。

3)実体基台
 復帰基台摂理時代においては、父母の立場にあるアダム・エバの失敗を蕩減復帰するために、子女の立場にあったカインとアベルが「家庭的な実体基台」を立てる摂理でした。
 しかしアブラハム家庭を中心とする復帰摂理でアベルの立場にあったヤコブの勝利によってその時代は終わり、モーセを中心とする「民族的実体基台」を立てる摂理となりました。
 モーセは父母と子女、つまり、アダムとアベルの二つの立場と使命を同時に担ったのです。つまりアダム(父母)の立場で「信仰基台」を蕩減復帰するようになれば、アベル(子女)の立場でイスラエル民族の前に立ち、実体献祭をするアベルの位置を確立することができたのです。
 そしてイスラエル民族がカインの立場でモーセに従順に従って堕落性を脱ぐための民族的蕩減条件を立てれば、そこに実体基台が造られるようになっていました。

 しかしここにおいてもその中心的基台はモーセと民族の代表的立場にあった兄アロンとの家庭的(兄弟的)レベルの一体化であり、そこに勝利の鍵がありました。
 これは後のイエスを中心とする復帰摂理でイエスと洗礼ヨハネの一体化に勝敗がかかっていたのと同様です。結局、実体基台とは最も身近な兄弟の一体化であるということを、私たちも教訓として生かさなければなりません。

4)サタン屈伏典型的路程
 ここでモーセ路程全般を通して神が摂理されたサタンを屈伏するための典型的条件を整理してみましょう。

・サタンからの試練を克服するためには、どこまでも神のみ言を命懸けで守らなければならない。

・霊肉両面において神の心情に立って感謝する。

・死体までもサタンから分別することのできる清い肉身生活をする。

・三段階の成長期間に該当する蕩減期間を通して、家庭的完成基台を立てるための12数、72数の子女と氏族基台を立てる。

・メシヤを中心とする基台を中心として、み言により不義を分別する生活をする。

・子女を一体化させ父母を復帰する基台を立てるため母と子女が協助する。

・サタンに奪われた三大祝福を神のもとに完全に復帰する。

・サタン主権罪悪世界を壊滅(自然屈伏)させなければならない。

 以上の内容は今日私たちが、例外なく完遂しなければならない路程でもあります。
 み旨の本質を歴史から学んで確実に勝利する道をまい進しましょう。



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