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シリーズ中級講座 14
救援摂理史の原理観<6>

 世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。

伝道教育局副局長
入山 聖基

失われた氏族の基台とイエス様の聖婚

 絶対信仰によって築かれた氏族関係の上に、イエス様は誕生し、周囲から守られながら救世主の使命を果たすようになっていました。しかし、この関係性がことごとく崩されていったのです。そのことで決定的な影響を受けたのがイエス様の聖婚でした。

 「メシヤの道を自覚するようになったイエス様は、自分の孤独な事情が、神様のみ旨を成就するに当たって深刻な障害の要因であることを、独りもどかしく思いました。メシヤは真の父母であり、その使命のためには実体の新婦を迎えなければなりません。天使長が、アダムと兄妹のように育ったエバを偽りの愛で堕落させたので、イエス様はそれを根本的に復帰しなければならなかったのです。

 ……アダムに代わって神様の息子として来られたイエス様は、天使長の立場に立った人物の妹を妻として迎えなければなりませんでした。その女性が正にザカリヤの娘であり、洗礼ヨハネの妹だったのです。
 サタンの権勢が主人の役割をする世の中で、このことが成就するためには、絶対的な信仰によって形成された保護の基台がなければなりません。不幸なことに、イエス様の周辺では、そのような基台がすべて崩れてしまいました
『平和経』、123ページ)


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 イエス様の花嫁として神が予定された人物がいました。それが洗礼ヨハネの妹です。いちばん近くにいたのです。

 しかし、神への信仰によって一つになるべきだった夫婦、氏族の関係が崩れていく中で、一族からイエス様の花嫁を見いだす道は、最も険しい道となってしまいました。皆が反対し、誰もイエス様の結婚に向き合おうとしなかったのです。

 ザカリヤ一族が祝福する中でイエス様の聖婚が成されていたなら、人類の真の父母は、この時代に登場し、全人類を祝福結婚に導くことができました。彼ら一族に与えられた信仰上の試練や苦痛は大きかったに違いありませんが、それとは比べられない栄光と天の祝福が準備されていたのです。
 その道を開くことができなかったイエス様の断腸の思いは、いかばかりだったでしょうか。

 「イエス様は、母マリヤからも、ザカリヤ、エリサベツからも反対され、最後に洗礼ヨハネからも反対されて、肉親の保護を受けながら使命を完遂することを断念するしかありませんでした。新しく霊的基盤を探し求め、再び復帰摂理を出発しようとしたのがイエス様の出家でした。出家したイエス様は行く所がありませんでした。

 『きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない』(マタイ八・20)と嘆息されました。親族の基盤を失ったイエス様は、それに代わる基盤を求めて出発したのです。それがイエス様の三年路程でした。

 しかし、民族が不信し、弟子たちの信仰が弱くなって、サタンの侵入を受けてしまったので、イエス様の基台は崩れ、十字架の道を行かれるしかありませんでした。本来、イエス様は、メシヤとして地上に来て、弟子たちと万民を祝福され、罪のない天国を築かなければなりませんでした。ところが、不信されることによって新婦を迎えられなかったので、真の父母になれず、その使命を完遂できませんでした」(同、125ページ)

教訓

 「人がサタンの侵入を受ければ、もはや霊的に受けた恩恵と感動を失ってしまい、神様に対する確信と感謝を失うようになり、すべてのものを人間的に考えるようになります。これによりマリヤまで、イエス様が願われる結婚に協力することができず、かえって反対してしまったのです。これが、イエス様が新婦を迎えられず、そして真の父母になれず、十字架の道を行かざるを得なくなった直接的な原因になったのです」(同、124ページ)

 私たちはここからどんな教訓を得ることができるでしょうか?「信仰する」ということは、ただ漠然と神を信じることではありません。神の摂理を遂行するための確信的信念を持つに至らなければならないのです。これが絶対信仰です。絶対信仰の基準は、とりわけ天の摂理を担当する立場に立ったときに求められます。そして、最初から最後まで貫いてこそ、使命を果たすことができるのです。

 蕩減は、信仰と愛を復帰するためのものですから、信仰と愛の試練を伴います。このことが分からず、天の摂理を信じることができなくなれば信仰が弱くなり、愛の減少感に敗北してしまいます。その結果、嫉妬心をはじめとする堕落性によって、かえって天の摂理を妨害するようになるのです。

 人間に使命を与えるのは神ですが、それを遂行できるかどうかは人間自身にかかっています。それが責任分担です。「天の祝福を受ける」ということは、「使命を授かる」ということです。私たちは、この道を出発するに際し、“同じ過ちを絶対に繰り返さない”という強い自覚を持っていかなければならないでしょう。

 「再臨主はイエス様が果たせなかった神様の復帰摂理の根本を完成するために来られます。すなわち、創造理想を完成する真の本然の赤ん坊の種として来て、神様の真の愛、真の生命、真の血統の根源となる真の父母の理想を完成するために来られます。彼は、既にイエス様の時まで神側が勝利した根本摂理の基台の上に臨在されます。すなわち、イエス様が大人になられる時までの勝利的な基盤の上にまっすぐに立たれ、彼が果たせなかった新婦を探し出し、真の父母になられ、万民を救ってくださるのです。

 ですから、真の父母は、血統を伝授する新しい結婚行事を通じ、全人類を神様の真の愛、真の生命、真の血統に接ぎ木することによって真の人として救い、さらには真の家庭を完成して、地上天国を建設されるのです。ですから、再臨主は肉身をもって来られ、新しい血統関係を編成しようとするのであり、それが国際合同祝福結婚式なのです。

 アダムの家庭で失われたものを、世界大家庭圏で蕩減することにより、アダムの家庭で完成しなければならなかった真の長子権、真の父母権、真の王権を取り戻し、神様が主管される地上天国へと転換し、天上天国に入籍して、神様を中心とした地上・天上王権時代に進入し、勝利と自由と幸福と統一の世界を復帰し、神様の創造理想である地上天国、天上天国を迎えるようになるのです。これが救援摂理史の原理観です」(同、125126ページ)

 真の父母様は一代で来られた方ではありません。その背景には、気が遠くなるような年月と、摂理的使命者たちの歴史的な闘いと精誠があったのです。祝福結婚を受ける者は、その背景を知り、深い感謝の心を持ってこそ、真の祝福の相続者になることができるでしょう。