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ダーウィニズムを超えて 19

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第二章 進化論を超えて─新たな展望

(一)生命の波動

3)ゲノム重複、遺伝子重複、遺伝子浮動は進化の原動力か?
 突然変異と自然選択以外に進化の原動力はあるのだろうか。進化論者は、ゲノム重複、遺伝子重複、遺伝子浮動などを進化の推進力と見なしている。

①ゲノム重複
 ゲノム重複による倍数体が種に劇的な進化をもたらし、新しい種を作ったという説がある。イタイ・ヤナイ、マルティン・レルヒャーは次のように述べている。

 ゲノム重複は、人類だけに起きたわけではない。植物、菌類、魚類でも起きてきた。ゲノム重複は、遺伝子社会で時々起きる大幅な飛躍で、ダーウィンの「進化は漸進的だ」という主張と対立する。実のところ、漸進的な進化は、遺伝子社会の多くの変化の理由だったはずだが、劇的な変化をもたらしたのは、稀にしか起きないゲノム重複だったのだ(*7)。

 進化論者は大進化を説明するのに、ゲノム重複に大きな期待をかけている。しかし倍数体の実例として観察されたもの、あるいは人為的になされたものは、コムギの改良、キクの変種、種なしスイカなどであって、それらは到底大進化といえるものではなく、種の中の変種というべきものである。さらに倍数体は植物のみに見られるものであって、動物ではほとんど見られないのである(*8)。

②遺伝子重複
 サイエンスライターのカール・ジンマー(Carl Zimmer)は遺伝子重複によって、脊椎動物の祖先は、もっと複雑なボディープランを進化させはじめたと言う(*9)。

 ヒトゲノム・プロジェクトを牽引(けんいん)した、フランシス・コリンズ(Francis S.Collins)は、遺伝子の重複が進化の原動力になりうると言う。すなわち、遺伝子重複において、コピーされた遺伝子には機能がないために、制約なしに、ランダムな変異を取り入れて、時には、生物体に有意な新たな機能を得ることができるのであり、それが有意な自然選択となりうるのだと言う(*10)。けれども、何も新たな遺伝子が加わったわけではなく、結局これも突然変異と自然選択が進化の原動力であるという主張と変わりないのである。

③遺伝子浮動
 ランダムな遺伝的浮動が進化の原動力であるという主張もなされている(*11)。しかし遺伝的浮動と言っても、それは種の中の対立遺伝子の頻度の変化にすぎないのであり、それによって新しい種が形成されることにはなりえないのである。


*7 イタイ・ヤナイ、マルティン・レルヒャー、野中香方子訳『遺伝子の社会』NTT出版株式会社、2016年、206頁。
*8 ロバート・オークローズ、ジョージ・スタンチュー、渡辺政隆訳『新・進化論:自然淘汰では説明できない』平凡社、1992年、296頁。
*9 カール・ジンマー、渡辺政隆訳『進化大全』光文社、2004年、176頁。
*10 Francis S. Collins, The Language of GodLondon: Simon & Schuster UK LTD, 2007,189頁。
*11 ユージン・E・ハリス、水谷 淳訳『ゲノム革命』早川書房、2016年、110

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 次回は、「生命とは」をお届けします。


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