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シリーズ中級講座 12
救援摂理史の原理観<4>

 世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。

伝道教育局副局長
入山 聖基

 「伝道する」というと、教会や伝道集会に人を「連れてくること」とイメージする人も多いと思います。しかし、「道を伝える」という伝道の本質を考えれば、連れてくることよりも、連れてきてから何を伝えるのかが、もっと重要であることは明らかです。

 人は、体を成長、維持させるにおいて、食べることが不可欠です。ただ、赤ちゃんと大人では口にするものが違います。同じように、心霊の成長段階に合わせて、“霊人体のご飯”とも言えるみ言を適切に伝えてこそ、よく育てることができるのです。

 多くの人を伝道するためには、どのようにして来てもらうかを考える前に、来てくれたら何を伝えるのか、教育内容を検討する必要があります。つまり、教育の段階、教育システムを整備しなければならないのです。連れてきてから考えていては、スピードが遅く、行き当たりばったりになりやすいため、教育成果を効果的に上げることはできません。

 伝道教育局では、2日修、初級講座、中級講座、上級講座という4段階の教育カリキュラムを整備しています。学校教育にある小・中・高・大の段階を、天の学校である教会にも取り入れ、未来人材の育成につなげようと考えています。

 ここでは前回に続き、中級講座の内容として“血統転換の摂理史”について学びます。

マリヤの信仰

 「神様の息子の種が準備された母親の胎中に、サタンの讒訴(ざんそ)のない立場を得ることができる国家的勝利の土台が造成されたのです。このような基盤の上に、聖母マリヤが摂理の主流に登場したのです。……ヨセフと婚約したマリヤは、自分の身を通してメシヤが生まれるという天使長ガブリエルの驚くべきメッセージを受けました。処女の立場で赤ん坊を身ごもれば、死ぬしかないというのが当時の規則でしたが、『わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように』(ルカ一・38)と言いながら、絶対信仰で神様のみ旨を受け止めました(『平和経』、120121ページ)

 タマルによってもたらされた勝利を条件として、国家的基盤の上に立つメシヤが誕生する道が開かれました(シリーズ中級講座11参照)。全ての歴史的蕩減(とうげん)条件が一点に集約され、聖別された胎中を持った女性が現れるのです。それが、イエス様の母マリヤでした。

 タマルが絶対信仰で胎中復帰を成したように、マリヤも絶対信仰で天使の「受胎告知」を受け入れ、イエス様を身ごもりました。しかし、婚約者のヨセフには身に覚えがないことです。マリヤはヨセフに対して、「聖霊によって懐胎した」としか言うことができませんでした。

 キリスト教では「処女降誕」とし、イエス様の父親の存在には言及していませんが、創造原理からすれば、父親のいない子供はありえません。それでは、誰がイエス様の父親なのでしょうか? 二千年のキリスト教の歴史の中で見いだせなかった秘密を、再臨主として来られた真の父母様が明らかにされました。それを世界に向けて発表したのが、「救援摂理史の原理観」のみ言です。

 ですから、心にイエス様をお迎えするような厳粛な心情を持ち、解き明かされたこのみ言を尋ね求めてくださるよう願います。

ザカリヤ氏族の使命

 「ザカリヤ夫婦はマリヤを自分たちの家に泊まらせました。ザカリヤの家庭でイエス様を懐胎したのです。

 エリサベツとマリヤは、母親側のいとこの関係でしたが、摂理上では、姉(カイン)と妹(アベル)の関係でした。ザカリヤの前でエリサベツの助けを受けたマリヤは、レアとラケルがヤコブの家庭で母子の一体化を果たせなかったことを、国家的基準でザカリヤの家庭を通して蕩減する条件まで立てながら、イエス様を誕生させなければなりませんでした。

 ……神様の息子は、たとえ着地はしたとしても、サタン世界の中で無事に育ち、み旨を成し遂げるためには、保護してくれる囲いが必要でした。神様はザカリヤの家庭の三人に、その基盤になってくれることを期待されました」(同、121122ページ)。

 聖書には、「マリヤは、エリサベツのところに三か月ほど滞在してから、家に帰った」(ルカ一・56)と記述されています。

 祭司ザカリヤの妻であり、マリヤのいとこのエリサベツは、マリヤを家に迎えたときに聖霊に満たされ、「あなたは女の中で祝福されたかた、あなたの胎の実も祝福されています。主の母上がわたしのところにきてくださるとは、なんという光栄でしょう」(ルカ一・4243)と祝福しました。この聖句が、祭司ザカリヤがイエス様の父親であることを暗示していました。復帰摂理の観点から整理してみましょう。

 堕落は、人間始祖アダムとエバ、そして天使長の関係から起こりました。したがって復帰摂理は、この三者の関係を蕩減復帰する形で成されます。


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 天使長がエバを誘惑して霊的堕落が起こり、堕落したエバがアダムを誘惑して肉的堕落が起こりました。これを、堕落と反対の経路をたどって蕩減復帰するため、ザカリヤ、マリヤ、ヨセフが、それぞれアダム、エバ、天使長の立場に立てられました。

 エバは、本来対すべきアダムではなく、天使長と関係を結んで堕落したため、反対にマリヤは、婚約者のヨセフではなく、ザカリヤと結ばれることによって蕩減復帰しなければならないのです。それは、神の摂理を知らない人にとっては、到底理解できないことであるがゆえに、マリヤは天に対する絶対信仰をもって命懸けの行動を執らなければなりませんでした。