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愛の知恵袋 177
心がワクワクすることをしよう

(APTF『真の家庭』298号[20238月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

「毎日が憂鬱だ」という男性

 60代の男性から電話がありました。「夜も寝付けないことが増えて、毎日が憂鬱だ」と言います。確かに、昨今はテレビで情報を聞くたびに気が重くなる時世です。

 特に2020年からの3年間は大変な期間でした。新型コロナの感染拡大であらゆる活動が制約され、息が詰まるような生活が続き、多くの事業が休業や減収で苦境に立たされてきました。

 そこに、ロシアのウクライナ侵攻が勃発し、世界的な物価高騰が私たちの生活を圧迫しています。更に、日本では元総理の暗殺や国葬反対騒動などで政情が混乱し、暗いニュースが多かったのです。

 しかし、こんな時でも我々は生きていかなくてはなりません。頭に覆いかぶさってくる暗雲を払いのけ、自分を励まし、未来を信じて前向きに生きようと努力をしている…というのが、多くの人達の偽らざる心境ではないかと思います。

子供たちは毎日がワクワク

 そんな時代でも、子供たちは無邪気です。先日、娘と孫たちに誘われて、久しぶりに大分市の大型水族館「うみたまご」に行きました。8歳と4歳の孫たちは前の日から楽しみにしていて、待ちきれない様子でした。

 そして当日、駐車場に着くや否や、「早く、早く!」と私の手を引っ張ります。まずは、兄のマー君が大好きなカワウソ君が出てきて愛らしいショータイム。続いて、中年デブを思わせる体重800キロのセイウチ君が出てきて名演技。みんなをどっと笑わせます。

 次は弟のミー君の好きなイルカショー。器用な輪投げ、キャッチボール、猛スピード、大迫力ジャンプ、バシャーッと観客にも水しぶきの洗礼。

 レストランで昼ご飯を食べると、館内の珍しい魚たちを見て回り、途中で会った散歩中のアルマジロ君と戯れる。セイウチや魚の形をした遊具コーナーでしばらく走り回っていたかと思うと、「じいちゃん、こっちこっち」とまた外庭に出て人工海岸「あそびーち」で砂遊びに夢中。

 ママが呼び寄せて「そろそろ帰ろうか」と言うと、「ダメー、もうちょっと!」と言って飛んでいく。私はクタクタだが彼らは疲れ知らず。「あんな小さな体のどこにこんなパワーがあるんだろう?」と思うほど一心不乱に楽しんでいます。

大人にとっての難題…“心身の老化”

 大人にとっての毎日はやらねばならないことが多く、親世代は家計を支えるための仕事と子育てに追われ、ストレスをため込んで心に余裕を失いやすいものです。

 更に、祖父母世代になると、疲れがひどく、何をしようにも気力と体力がついて行かなくなります。若い時のような意欲や情熱が薄れ、毎日の生活に刺激や感動が乏しくなって、ふと気が付くと寂しい気分になっていることがあります。

 「それが年寄りというものだ」というのも正論なのですが、肉体の老化が必ずしもその人の精神的老化をもたらすとは言えません。

 聖路加(せいるか)国際病院理事長を務めた日野原重明(ひのはら・しげあき)博士のように、90歳を過ぎても現役で仕事をこなし、多分野で超人的な活躍をしながら、105歳まで毎日を笑顔で生き抜いた方がおられます。日野原先生は「毎日ワクワクするような気持ちで働くことが若さの秘訣ですよ」と言っておられました。

自分の本心がワクワクすることをしよう!

 最近、私も「自分がワクワクするのは何をしている時か…」と考えました。現在はカウンセラーと講師の仕事のほかに別の分野の仕事もしています。特に、この3年間は新型コロナで各種セミナーや講演会などが全て中止となり、講師依頼もほとんどなかったので、もう一つの仕事の方に時間を割いてきました。

 その仕事もそれなりに人のお役に立てる仕事なのですが、やはり、“自分の本心”までは満足できていないことに気が付きました。

 今年になって行動規制が解除され、セミナーや講演の依頼が少しずつ入ってきました。そして、そのための準備をしたり講演をしたりしている時の自分の変化にはっと気が付きました。「自分の胸がワクワクしている。心が喜んでいるな…」と感じることができたのです。

 「そうか、やはり私はこの仕事が好きで、相談に応じたり、講演をしたりセミナーをしながら、人と触れ合うことが一番うれしいんだな…」と改めて自分の本心の声を聞いた気がしたのです。

 皆様は今、「何か心がワクワクすること」をしていますか? 今の仕事にそれがないのであれば、ワクワクする仕事を探して下さい。もし、それが難しいのであれば、今の仕事のほかに何か“本心がワクワクできる事”を一つでも見つけましょう。そうすれば、体が歳をとっても、心は若々しく生きていけると思います。

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