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シリーズ中級講座 9
救援摂理史の原理観<1

 世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。

伝道教育局副局長
入山 聖基

 「中級講座」は、「礼拝者」が「伝道実践者」に成長するための講座シリーズです。真の父母様の生涯路程をはじめ、統一思想や勝共理論、伝道学、信仰生活講座、礼典学など、実践的信仰者に必要な内容を受講します。その教育期間の中で、“天の摂理と自己の成長に責任を持つ”という自覚を育てていくことになります。

 ここでは、真の父母様が、「ワシントン・タイムズ財団創設記念特別講演」(1996416日)で、世界に向けて発表された「救援摂理史の原理観」というみ言を取り上げ、人類に祝福結婚の恩恵をもたらすためにたどられてきた復帰摂理歴史について学びます。

 私たちは、地上にメシヤが誕生したことによって、祝福の恩恵を授かることができました。それゆえに、その背景にあった“蕩減(とうげん)の道”がいかなるものだったかを知ることで、祝福結婚の価値をより深く理解することができます。

神の創造理想と人間の堕落

 「アダムとエバが神様を中心とした真の愛の夫婦となれば、神様は理想どおりに、御自身の実体であるアダムの体の中に住まわれながら、エバを愛するようになるのです。さらには、アダムとエバは、神様の実体をまとった真の父母になって、善の愛、善の生命、善の血統の始原となったでしょう。

 ところが、堕落によってアダムとエバはサタンの実体となり、悪の夫婦、悪の父母、悪の先祖になってしまいました。彼らの結合は、悪の愛と悪の生命と悪の血統の根になってしまったのです。人類はみな、この根に根源を置いているので、生まれたときからみな神様の怨讐(おんしゅう)であり、姦夫であるサタンの子孫になり、悪の父母の血統を受け継ぐようになってしまったのです。

 ……人類始祖の堕落によって真の愛の理想が崩れたとき、神様の苦痛はどれほど大きかったでしょうか。神様の子女になるべき人間たちが、本来の父母である御自身のことが分からず、サタンに仕えているにもかかわらず、神様は救援摂理をしてこられたのです」(『平和経』、117ページ)

 まず、神の創造理想について考えてみましょう。「神様は……アダムの体の中に住まわれながら、エバを愛する」とあるように、エバは、アダムの相対であると同時に、神様の妻にもなるはずでした。ですから、アダムとエバから生まれる子女は、神様の子女であり、神様の愛と生命と血統を相続した存在になるはずだったのです。


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 しかし、アダムとエバが堕落することによって、神様は子女を奪われた父母の立場に立つとともに、妻を蹂躙され奪われた夫の立場にも立たされたのです。神様は、心を引き裂かれるようなショックと悲しみを二重に受けられました。『原理講論』に「千秋万代にわたって消えることのない深い悲しみ」(299ページ)と記述されていますが、そのご心情はいかばかりだったのでしょうか?

 私たち人類の創造のため、神様は138億年をかけて有形実体世界(宇宙)を準備されたと言われます。一人一人にかけがえのない生命と個性を与えるために、限りない精誠を尽くされたのです。それほどまでに人間を愛し、喜ばせようとされた神様でした。

 ですから、人間が堕落したという罪において、本質的なことは、自分をいちばん愛し、大切にしてくれた方の心を傷つけ、悲しませたことによる心情蹂躙だと言えるのではないでしょうか。そのように考えると、「取って食べたら死ぬ」という戒めのみ言を“単なる規則”として捉えて、「不倫の過ちを犯した」「してはいけないことをした」と知的に理解する次元にとどまっていては、神様の心情に通じた「罪観」を持つことはできないと思います。

 明確な罪観がなければ、心から復帰(救い)を願うことはなく、救援摂理の中心者として来られるメシヤを待望することもないでしょう。「自分自身もまた、神様を悲しませてしまった一人である」ということを自覚し、心の底から涙の悔い改めをしなければ、復帰摂理歴史が望む結実体として、“私自身”の復帰の道を出発することはできないのです。