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シリーズ中級講座 8
統一思想入門講座
「統一思想とは何か」<8>

 世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。

統一思想研究院
木南章良・首席研究員

万民が道徳・倫理を遵守し、実践する社会

 最後に「共義主義」です。

 それは、理想社会の倫理的側面を扱った概念であり、共生共栄共義社会の基本となるものです。全ての人が公的にも私的にも道徳・倫理を遵守し、実践することによって、健全な道義社会すなわち「共同倫理社会」を実現しなければならないという思想です。

 宗教の目的がすでに達成されている社会です。統一思想では、宗教を“故障した人間の修理工場”と考えています。故障した人間が全て修理されたならば、宗教の使命は終わります。「宗教の中に神がいらっしゃる」という考えもありますが、統一思想では、宗教が使命を達成したのちにも、神は臨在して神のもとの人類一家族社会を実現していこうとされるのです。

 共義主義社会の一つ目の特徴は、「真の愛による絶対的価値観を持つ」ということです。絶対的価値観とは、時代、民族、国家を超えて、万民に普遍的に受け入れられるものです。長い歴史でなされてきた、価値観の強制とは違います。万民が地位の上下を問わず、同一の倫理観を持って喜んで生活する社会です。

 二つ目の特徴は、「全ての人が主体的に神の愛を実践する」ということです。人間には本来、「かわいそうな人を見れば、助けたくてたまらない」という心の発露があります。それは、神の真なる愛のゆえです。

 貧困問題は、より多く持つ人たちが愛の実践をすることで解消されます。疎外された者は、管理責任者の真の愛によってすぐに慰められるのです。このように言うと、「人間はそれほど聖人ではない」と考える人がいるかもしれません。これまでの人類の歩みを見れば、そのとおりだと思いますが、全ての格差は真の愛によって消え去るのです。

 共生共栄共義主義社会は、成熟した人間の精神性を土台として制度がつくられなければなりません。利己主義が色あせ、国民が皆、「利他主義にこそ永遠の価値がある」と悟る中で築かれていきます。

 人間には利己心しかないでしょうか。皆が心の奥底に、「人のために生きたい!」という強い願望を抱いているのではないでしょうか。

 三つ目の特徴は、「社会の基本単位は家庭である」ということです。つまり、家庭倫理を拡大したのが社会倫理、国家倫理であると考えます。

 子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛は、家庭の中で育まれます。子供が街でお年寄りを見かけたとき、自分の祖父母のように大切に思い、何か困っていることがあれば助けてあげたくなるとすれば、どれほど素晴らしいでしょうか。

 思いやりのある、仲むつまじい親子、兄弟姉妹によって築かれた平和な家庭。このような家庭を土台として成される経済や政治のシステム、倫理社会が実現したのが、正に共生共栄共義主義社会であり、私たちが目指す神のもとの人類一家族社会なのです。